2022年の二輪車販売、3年ぶりに300万台突破
(ベトナム)
ハノイ発
2023年02月14日
ベトナム二輪車製造者協会(VAMM)によると、ベトナムの2022年の自動二輪車(バイク)の販売台数は前年比20.5%増の3,00万3,160台(添付資料表参照、注1)だった。ASEAN域内ではインドネシアに次ぐ2位の台数だ。このうち、シェアトップのホンダベトナムの販売台数は80.2%を占める240万7,907台だった。
2019年以来3年ぶりに年間販売台数が300万台を突破したが、新型コロナ禍前の販売台数の水準には届かなかった。さらに、ハノイ市やホーチミン市など5つの中央直轄市では、交通事故や渋滞、環境汚染の対策として、2030年以降のバイク通行制限も検討されており(2022年4月13日記事参照)、今後のバイク市場の先行きを見通すのは難しい。
しかし、バイクの代替となる公共交通機関の整備は十分でなく、依然として複数のバイクを所有する世帯が多い(注2)。そのため、バイク通行制限の導入には懸念の声が上がっている。
また近年、消費者に浸透するeコマースやフードデリバリーなどのサービスを複雑で狭い路地が多いベトナム都市部でオペレーションする場合には、小回りが利くバイクの方が自動車より利便性が高いという側面がある。
当面、バイクはベトナムの主要な交通手段となりそうだ。
電動バイク展開に取り組む地場企業も
現在のバイク市場はホンダをはじめ外資企業が主力だが、地場スタートアップが電動バイク事業に参入する動きもみられる。
ダットバイクは、1回の充電で200キロ走行可能でガソリンバイクと競合できる製品を販売する。同社は2019年の設立以来、2023年2月までに総額1,650万ドルの資金調達に成功。生産規模や充電ステーションの拡張などを図る計画だ。
電動バイクやバッテリーの開発などを行うセレックスモーターズは、デンソーのベトナム法人と協業で、電動バイクを活用したコールドチェーン輸送の実証事業を始めた(2022年12月7日記事参照)。
スタートアップの電動バイクの販売実績はまだ多くないが、機能の向上や充電ステーションの拡充、物流サービスとの協業などにより、ガソリンバイクから電動バイクへの移行が今後加速する可能性はありそうだ。
(注1)VAMMに加盟するホンダベトナム、ベトナムスズキ、ヤマハモーターベトナム、ピアッジオベトナム(イタリア系)、SYMベトナム(台湾系)の国内販売台数の合計。輸出は含まれない。
(注2)ベトナム統計総局の「ベトナム家計生活水準調査」では、バイク普及状況は2020年時点で100世帯当たり156.2台(2021年7月15日記事参照)。
(萩原遼太朗)
(ベトナム)
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