二輪車の通行制限、ハノイ市など5都市に検討を指示

(ベトナム)

ハノイ発

2022年04月13日

ベトナム政府は、ハノイ市やホーチミン市など5つの中央直轄市に、2030年以降の二輪車通行制限に向けた検討を指示した。ハノイ市では二輪車通行制限を2025年から実施する案が出ていたが、今回の政府指示は交通インフラの整備状況を踏まえて2030年以降の実施を促す内容にとどまった。

この指示は2022~2025年の交通秩序・安全および渋滞対策の強化に関する政府決議(48/NQ-CP、4月5日付)に盛り込まれたもので、交通事故の減少、渋滞および環境汚染の防止を目的とする。同決議によると、2020年の交通事故による死者数は6,700人で、今後は死傷者数を毎年5~10%減らし、2030年には2020年比で50%以上減らすことを目指す。大都市では車両数の増加に対して、交通インフラの開発や公共交通機関の能力が追い付いていないと指摘。改善に向けて、関連省庁や省・市の人民委員会への指示をまとめた。

そのうち、中央直轄市であるハノイ市、ホーチミン市、ハイフォン市、ダナン市、カントー市の5都市に対しては、2030年までに旅客輸送に占める公共交通機関の利用率を30~35%に引き上げるよう求めた。併せて、各地の交通インフラの整備状況に応じて、二輪車の通行を2030年以降に一部地区で制限または禁止するための計画を作成するよう指示した。渋滞や環境汚染のリスクが高い地区では、自動車の通行料徴収などの仕組みを検討するよう促した。マンションや高層ビル、商業施設の投資計画については、駐車場や交通インフラの要件を満たす場合にのみ許可するよう求めた。

ハノイ市は2021年12月、市内中心部への二輪車の乗り入れを2025年から禁止する提案を出した。これは2017年に公表された計画を5年間前倒しするものだったが、今回の政府決議はあらためて2030年以降の制限実施に言及したかたちだ。ハノイ市内では都市鉄道2A号線が開業したが(2021年11月9日記事参照)、その他の都市鉄道やバスなどの公共交通機関の整備は遅れており、二輪車の代替となる交通手段が十分に確保されているとはいえない。このような状況下での二輪車通行制限に対して、専門家や市民からは懸念の声があがっていた。

(庄浩充)

(ベトナム)

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