2023年は低成長、エネルギー産業に係る今後の政策・投資に期待

(南アフリカ共和国)

ヨハネスブルク発

2023年02月09日

南アフリカ共和国では、深刻化する電力不足に起因する計画停電(2023年1月30日記事参照)によって、経済を牽引する製造業や鉱業をはじめ、市民活動などに深刻な影響を与えている。こうした事態を受け、南ア準備銀行(SARB)は同国の2023年GDPを0.3%と予測する。IMFも1月31日、南アの2023年実質GDP成長率を2022年10月予測の1.3%から1.2%に下方修正した(2023年2月1日記事参照)。

政府は民間からの電力調達を積極的に進めており、「再生可能エネルギー独立発電事業調達計画(REIPPPP)」の第6次入札が2022年10月に終了した。鉱物資源エネルギー省の発表によると、2022年中に入札で決定した合計25件のプロジェクトのうち19件が契約締結を完了し、2023年中に建設準備に入る予定だ。これにより、計1,759メガワット(MW)の再エネが発電容量に追加され、陸上風力発電が784MW、太陽光発電が975MWを担う。19プロジェクトの総投資額は、343憶ランド(約2,572億5,000万円、1ランド=約7.5円)と推定される。政府は今後も6つの太陽光発電プロジェクト(合計1,000MW)を調達予定だ。

グリーンエネルギー政策にも注目が集まっている。国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)に合わせ、シリル・ラマポーザ大統領は2022年11月に「公正なエネルギー移行投資計画(JET-IP)」を発表した(2022年11月16日記事参照)。これは、南ア政府が今後5年間でどのような投資を行うかについて具体的なビジョンやプロジェクトをまとめたもの。計画実行に必要とされる投資額(約1兆4,800億ランド)の95%は、電力、新エネルギー車(NEV)、グリーン水素の3分野に充てる予定で、政府は先進国からの融資や民間からの投資を見込む。メディア報道によると、EUが南アに追加資金3,500万ユーロを検討しているという。

特に、政府は新産業としてグリーン水素分野への取り組みに積極的で、2022年11月末には、南ア社会の脱炭素化と水素産業の国際競争力強化を目的とする「グリーン水素商業化戦略」(GHCS)を発表している(2022年12月28日記事参照)。

(堀内千浪)

(南アフリカ共和国)

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