米FRB、政策金利を0.25ポイント引き上げ、上げ幅を通常幅に縮小

(米国)

ニューヨーク発

2023年02月02日

米国連邦準備制度理事会(FRB)は1月31日~2月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利のフェデラル・ファンド(FF)金利の現状の誘導目標4.25~4.5%から0.25ポイント引き上げ、4.5~4.75%とすることを決定した(添付資料図参照)。2022年12月の前回会合では、引き上げ幅を縮小して0.5ポイント引き上げた(2022年12月15日記事参照)。今回は、6カ月連続で鈍化した直近2022年12月の消費者物価指数(CPI)などを踏まえ(2023年1月13日記事参照)、引き上げ幅をさらに縮小し、通常どおりの0.25ポイントの引き上げ幅とした。今回の決定は参加者12人の全会一致だった。

前回会合のFRBの声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは冒頭で「インフレ率は(新型コロナウイルスの)パンデミックに関連した需給不均衡と食品・エネルギー価格上昇、より広範な物価上昇圧力の影響を受け、依然として高止まりしている」と記述していたが、2月1日に公表された今回会合の声明文外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、「インフレ率は幾分鈍化しているが、依然高止まりしている」との記述に変更した。また、ウクライナ情勢に関する記述では、前回声明の「戦争とその関連事象はインフレ上昇圧力に寄与し、世界経済の重荷になっている」としていたところを、今回はインフレ部分の記述を削除し、「世界経済の不確実性を高める一因になっている」との記述に変更した。そのほか、前回「FOMCは、公衆衛生や労働市場、インフレ圧力とインフレ期待、金融、国際情勢を含む幅広い情報を考慮して評価を行う」との記述から、新型コロナウイルス感染症を念頭とした「公衆衛生」の語を今回削除した。

ジェローム・パウエルFRB議長はFOMC後の記者会見で「最近の(インフレ鈍化の)動向は心強いが、インフレが持続的に低下傾向にあると確信するには、さらに多くの証拠が必要」「高インフレが購買力を低下させ、特に食料、住宅、交通といった必需品のコスト上昇に対応できない人々にとって大きな苦難をもたらすことを痛感している」と述べ、「2%の物価目標に戻すために十分に抑制的な金融政策スタンスを達成するには、継続的な金利誘導目標の引き上げが適切と引き続き考えている」とした。引き上げ幅を今回縮小した理由については「金融引き締めのこれまでの累積と、それが経済やインフレに影響を与えるタイムラグを考慮した」と述べた。インフレへの警戒を引き続き示す一方で、記者とのやり取りでは、財や住宅ではディスインフレの初期段階に入ったと述べた。FRBの声明や、パウエル議長が認めるとおり、インフレ鈍化の兆候が強くなり、市場では2023年内に利上げから利下げに反転するのではとの期待の声があるが、パウエル議長は「物価動向がわれわれの見通しどおりであれば、年内の利下げは適切ではない」と述べた。また、議会で難航している連邦政府債務の法定上限の引き上げ対応に関連して、FRBが現在行っている量的引き締め(2022年6月1日記事参照)に影響を与えるかという質問に対して、「議会は債務上限を引き上げるために行動すると信じている」「金融市場の状況を注視していく」と述べた。

(宮野慶太)

(米国)

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