米国、労働組合組織率10.1%で過去最低、組合員数は増加
(米国)
ニューヨーク発
2023年01月25日
米国労働省が1月19日に発表した2022年の労働組合組織率は10.1%(前年10.3%)と、データの比較可能な1983年以降で最低となった。組織率の分子の組合加入者数は前年から27万3,000人増(1.9%増)と伸びたが、分母の雇用者数が前年から530万人増加(対前年比3.9%増)したことで、組織率は前年から減少した。
内訳をみると、警察や消防など公共部門の組織率が33.1%(前年33.9%)の一方、民間部門は6.0%(前年6.1%)だった。民間部門で組織率が高い業種は、電気・ガス・水道サービス(19.6%)、映画・録音サービス(17.3%)、運輸倉庫業(14.5%)だった。低い業種は、保険(1.2%)、金融(1.3%)、専門技術サービス(1.3%)、飲食業(1.4%)となった。男女別では男性が10.5%(前年10.6%)、女性が9.6%(前年9.9%)、人種別では白人10.0%(前年10.3%)、黒人11.6%(前年11.5%)、ヒスパニック系8.8%(前年9.0%)、アジア系8.3%(前年7.7%)だった。
州別でみると、組織率が高いのはハワイ州21.9%(前年22.4%)、ニューヨーク州20.7%(前年22.2%)、ワシントン州18.0%(前年19.0%)、低い州はサウスカロライナ州1.7%(前年1.7%)、ノースカロライナ2.8%州(前年2.6%)、サウスダコタ州3.1%(前年4.0%)だった。また、1,430万人の総組合員のうち30%がカリフォルニア州(260万人)とニューヨーク州(170万人)に集中している。
米国では2022年、アマゾンやスターバックス、アップルなど大企業で労働組合結成の動きが相次いだ(2022年6月3日記事参照)。こうした動きは民間部門だけにとどまらず、公共・公益部門でもみられた。
また、ストライキも目立っており、米国最大都市のニューヨークでは1月中旬、7,000人以上の看護師らが人員追加を求めて3日間のストライキを行っている(「ニューヨーク・タイムズ」電子版1月12日)。鉄道労使交渉(2022年12月5日記事参照)は議会が介入するまでに発展した。西海岸港湾の労使交渉はいまだ妥結に至っておらず(2022年10月25日付地域・分析レポート参照)、ストライキなどに発展すれば供給網を混乱させる可能性も残る。
(宮野慶太)
(米国)
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