回復基調がみられる郷里送金、公式ルートでの送金受け入れに措置も

(バングラデシュ)

ダッカ発

2023年01月12日

減少傾向にあったバングラデシュへの郷里送金が、やや回復基調にある。中央銀行の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2022年12月単月の郷里送金額は16億9,970万ドル、前年同月比4.2%増加した。2022/2023年度(2022年7月~2023年6月)に入り、8月までの郷里送金額は前年同期比で増加傾向にあったものの、9月、10月は8月単月比でそれぞれ約25%減と低調だった。政府は郷里送金に係る規制緩和を発表していたところ(2022年12月7日記事参照)、11月(前年同月比2.7%増)から再び増加傾向に転じている(添付資料表参照)。

他方、統計に反映されない違法な送金(注)は依然として大きな懸案で、シェイク・ハシナ首相は2023年1月4日、正規の公式チャンネルを通じて送金するよう、出稼ぎ労働者向けに、あらためて呼びかけている(「フィナンシャル・エキスプレス」紙1月5日)。なお、前年度の郷里送金(約210億ドル)は年度別で、過去最高額の約248億ドルを記録した2020/2021年度(2020年7月~2021年6月)(2021年8月12日記事参照)に次いで、2番目に大きい送金額だった。

郷里送金の公式チャンネルの1つでもあるビー・キャッシュ(bKash、2021年11月24日記事参照)でマネーロンダリング対策に携わり、現在は地場銀行大手のユナイテッド・コマーシャル・バンク(UCB)で同対策の責任者を務めるコンドカル・ムスタク・アーメッド氏は「郷里送金促進の最大の課題は、違法な送金に際して適用される為替レートが中銀レートよりも良いことであるが、公式チャンネルでの送金は外貨獲得のための必須手段だ。海外出稼ぎ労働者による正規ルートでの郷里送金促進対策として、政府が継続している送金額の2.5%相当の現金インセンティブの付与は(2022年1月5日記事参照)は今後も欠かせないだろう。さらに、郷里送金に係る実務を迅速・的確に実行する意味で、各市中銀行の果たすべき役割も大きい」と話す。

(注)「カーブ・マーケット(Kerb Market)」や「地下送金」、現地語では「フンディ(Hundi)」と呼ばれる。

(山田和則)

(バングラデシュ)

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