米国、アラスカ沖海洋鉱区リースへの入札者発表、申請は1件のみ
(米国)
ニューヨーク発
2023年01月05日
米国内務省の海洋エネルギー管理局(BOEM)は12月30日、アラスカ沖の海洋鉱区リース権の販売に関して、ヒルコープ・アラスカ(本社:テキサス州)から入札があったことを発表した。入札したのは同社のみで、入札額は6万3,983ドルだった。BOEMは2022年11月に同海洋鉱区のリース権販売に関する詳細を発表していた(2022年11月30日記事参照)。
同海域でリース販売が行われるのは2017年以来、約5年ぶりとなる(アラスカ・ニュース・ソース11月29日)。BOEMによると、対象区域はアラスカ沖クック湾周辺の約95万8,000エーカー(約3,878平方キロ)で、原油が最大約1億9,000万バレル、天然ガスが最大約3,000億立方フィート(約85億立方キロ)生産できる可能性がある。内務省は2022年5月、業界の関心が低いことを理由に、同リース販売をいったん取りやめたが(2022年5月18日記事参照)、2022年8月16日に成立したインフレ削減法(2022年8月17日記事参照)にアラスカ沖の領海外大陸棚(OCS)での追加リースが盛り込まれたために、今回入札が行われた。しかし、入札企業は1社のみで価格も低価格となり、内務省の事前の見立てがある程度当たったかたちだ。今後は今回の入札の市場価値が公正かに関する90日間の評価プロセスを進めたのち、司法省による独占禁止法への抵触の有無に関する審査を経て、最終的な落札企業を発表するとしている。
低調な需要もさることながら、気候変動に与える影響などから、環境保護団体は同リース販売に反対している。BOEMは、販売条件には環境の変化による影響を受けやすい資源の保護や、保護種への悪影響の軽減などのための規定が含まれていると説明しているが、環境保護を訴えるNPOによると、関係機関が気候への影響の考慮や、気候、海洋生物、周辺地域への影響を軽減する代替案の検討を怠っているため、同リースの販売は違法として、複数の環境保護団体が差し止めの訴えを起こしている。そのため、実際に原油や天然ガスの掘削・生産が行われるかはいまだ流動的な状況だ。
(宮野慶太)
(米国)
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