北東アジア地域の入国・入境規制の最新動向、中国の感染動向を巡り再び防疫措置強化の動きも

(中国、韓国、香港、台湾、モンゴル)

中国北アジア課

2023年01月11日

新型コロナウイルス感染拡大防止のための入国・入境制限について、北東アジアでは2022年末に中国で大幅な緩和が発表され、香港でもさらなる緩和に踏み切る動きがみられた。他方で、日本、韓国などを含む一部の国・地域では中国における感染動向を踏まえ、同国からの渡航者に対する防疫措置を再び強化した。中国側も対抗措置を取る旨を表明し、2023年1月10日には日本および韓国人に対する一般査証の発給の一時停止が発表されるに至っている(2023年1月11日記事参照)

中国では2023年1月8日以降、各種防疫措置の変更が適用され、海外からの渡航者は搭乗の48時間以内のPCR検査の結果が陰性であれば入国可能に。入国後のPCR検査および集中隔離措置も撤廃された(2022年12月28日記事参照)。

香港でも入境規制のさらなる緩和が実施された。海外から香港への入境者に義務付けていたPCR検査を2022年12月29日から廃止。入境後の迅速抗原検査受検も「推奨」へと変更された(2023年1月5日記事参照)。

これら中国および香港の措置変更により、北東アジア5カ国・地域(中国、香港、韓国、台湾、モンゴル)では、全地域で入国・入境者に対する隔離検疫およびPCR検査の受検義務が廃止されたこととなる(ただし、PCR検査については後述の中国に対する措置を除く)。

しかし、中国では2022年12月7日に発表された国内の防疫措置の最適化が実施されて以降(2022年12月8日記事参照)、感染が急速に拡大した。感染状況について正確な把握が困難との指摘も聞かれる中、中国政府は2023年1月8日に中国公民の国外旅行の段階的な再開に踏み切った(2023年1月4日記事参照)。これに対し、欧米主要国のほか、北東アジアでも日本、韓国、台湾などは、中国からの渡航者に対して入国前の事前検査を義務付けるなど、防疫措置を強化する動きを見せている(2023年1月4日記事1月5日記事参照)。

中国外交部の汪文斌報道官は1月10日の定例記者会見において、「少数の国では中国に対し差別的な入境制限を実施している」と指摘し、「(こうした措置に対しては)断固反対し、対等な措置を取る」と表明。在日本中国大使館および在韓国中国大使館は同日、日本および韓国の国民に対する一般査証の発行を一時停止すると発表した(注)。

なおジェトロでは、新型コロナウイルス対応状況をまとめた特集ページの中で、北東アジアにおける入国(入境)・国内(域内)規制・手続き一覧を掲載し、定期的に更新している。目まぐるしく変化する北東アジア地域の規制緩和措置の現状および実態を確認することができる。

(注)在日本中国大使館は1月10日、日本人に対する一般査証の発給を一時停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。在韓国中国大使館は同日、韓国人に対し中国への短期ビザ(訪問、産業貿易、観光、医療および個人事情を含む)の発給中断を告知すると発表した。

(益森有祐実)

(中国、韓国、香港、台湾、モンゴル)

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