中国が日本、韓国に対するビザ発行を一時停止

(中国、韓国)

北京発

2023年01月11日

在日中国大使館は1月10日、同日から在日大使館および総領事館による日本人への中国一般査証(注1)の発行を一時停止すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。一時停止の期間や理由などは示されていない。

中国の外交部は、大使館の発表前に行われた同日の記者会見で、本件に関する質問について「少数の国が科学的事実と自国の感染状況に顧みず、中国に対して差別的な入境制限を行っている。中国は断固としてこれに反対し、同等の措置をとる」として、大使館の発表を待つようにと述べていた。

日本では1月8日以降、中国への渡航歴(7日以内)のある場合、および中国から直行便で入国する場合、ワクチン接種歴にかかわらず、航空便搭乗時に出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明書が必要となるほか、入国時にも検査を行い、陽性の場合は検疫所長の指定する宿泊療養施設などでの療養が必要となっている(注2)。また、直行便の到着空港についても成田、羽田、関西国際、中部国際の4空港に限定している。

現地メディアでは、日本の措置について、日本の感染状況が厳しいため中国の現状を考えれば制限は理解できるが、欧米諸国の感染状況が厳しかった際には特別な措置は取らなかったとして「中国にだけ向けたものと考えざるを得ない」と報じていた(「環球時報」2022年12月30日)。また、中国の措置について、日本企業から中国出張などへの影響を懸念する声が上がっていると報じられている(同2023年1月11日)。

なお、同日に在韓中国大使館も、韓国人に対する訪問、ビジネス、観光、医療、トランジット、および一般私人事務類(注3)の短期査証の発行を一時停止すると発表している。同措置は、中国に対する差別的な入国制限措置の取り消し状況に応じて変更するとしている。

韓国は2023年1月2日から、中国からの入国者に対して短期入国ビザの発給制限や、中国発の航空便の追加増便の制限などを行っている(2023年1月5日記事参照)。韓国については、中国人旅行客が入国後に強制的に黄色いカードを首から下げさせられ、高額なPCR検査を自費で受けさせられるなどの扱いを受けたと報じられている(「澎湃新聞」2023年1月11日)。

中国は2023年1月8日から入境者への集中隔離を撤廃するなど、新型コロナウイルス対応に関する制限を緩和してきた(2022年12月28日記事参照)。

(注1)中国の査証は外交査証、礼遇査証、公用査証、一般査証がある。

(注2)1月12日以降、マカオからの直行便での入国者も対象となる。

(注3)中国内に居留する外国人の家族を対象とするものなど。

(河野円洋)

(中国、韓国)

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