英財務省、酒税の凍結延長、2023年度予算は3月15日に発表

(英国)

ロンドン発

2022年12月27日

英国財務省は12月19日、酒税に関し、税率凍結を2023年8月1日まで延長することを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(現在の税率については英国政府サイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ジェームズ・カートリッジ財務長官は議会声明で、インフレなどの影響を受けるパブや蒸留所、醸造所に対して確実性と安心感を与えるとし、酒税の税制改革が行われる2023年8月1日まで税率の変更は行わないとした。

酒税の改革については、2021年の秋季予算案の中で、EU離脱を生かすためアルコール度数に応じた税率とするなどの税制の簡素化を行うとしていた。また、小規模生産者向けの優遇措置の導入や責任ある飲酒に資するような税率設定を行うことも示していた。

今回の財務省発表で言及した改革の内容は以下のとおり。

  • ドラフト(たる詰め)向けの減免措置について、容器サイズの条件を現在の40リットル以上から20リットル以上に緩和。
  • 「小規模醸造所減免」制度を「小規模生産者減免」制度に改編。現在は年間生産高50万リットル超という基準で減免の可否を判断していたが、規模に応じて段階的に減免を縮小する制度に変更。また、アルコール度数8.5%未満の全ての酒類の生産者について減免の対象に。
  • スパークリングワインの税率と非発泡性のワインに対する税率、リキュールの税率と酒精強化ワインの税率を同一に。
  • アルコール度数11.5%から14.5%のワインに関しては、2023年8月1日から18カ月間、度数12.5%のワインに対する税率を適用。

酒税については、前政権時代にクワシ・クワルテング財務相(当時)が1年間の凍結を発表していた(2022年9月26日記事の添付資料参照)が、ジェレミー・ハント現財務相が就任後の見直しで撤回していた(2022年10月18日記事参照)。

併せて、2023/2024年度の予算について、2023年3月15日に発表することも示した。

(注)英国の酒税については、ジェトロ「アルコール飲料の輸入規制、輸入手続き」、日本食品海外プロモーションセンター(JFOODO)作成の「海外流通実態調査(英国)PDFファイル(4.4MB)」も参照。

(山田恭之)

(英国)

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