ハント新財務相、経済対策の一部撤回を発表

(英国)

ロンドン発

2022年10月18日

10月14日に英国の新たな財務相に就任したジェレミー・ハント氏は17日、9月23日に発表した経済対策「成長計画」に関する見直しを発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。政府の財政規律に対するコミットメントに関する信頼性を与え、英国経済の安定性を確実にするため、10月31日に公表を予定していた中期財政計画の施策の一部を前倒しで発表したもの。ハント財務相は成長計画で発表された税制措置(2022年9月26日記事参照)のうち、議会で法制化が進んでいないものをほぼ全て撤回するとした。成長計画については10月3日に所得税の最高税率引き下げ、14日に法人税の増税中止がそれぞれ撤回されていた(2022年10月14日記事2022年10月17日記事参照)。

見直しの内容は以下のとおり。

  • 2023年4月から導入するとしていた所得税の最低税率の20%から19%への引き下げを撤回。経済状況が改善し、引き下げが可能となるまで20%を維持する。
  • 2023年4月以降の配当税の1.25ポイント引き下げを撤回。2022年4月に引き上げた水準を維持。
  • 2023年4月以降に実施予定だった直接雇用外の就業制度改革の廃止を撤回し、改革を継続。
  • グレートブリテンを訪れる外国人向けのVATフリーショッピングのスキーム導入を撤回。
  • 2023年2月1日から1年間の酒税凍結措置を撤回。ただし、成長計画で発表した酒税見直しは予定どおり実施。

エネルギー価格対策も見直す予定

エネルギー価格高騰対策に関しても、2023年4月以降の措置について財務省主導のレビューを行うとした。家計向けの支援策「エネルギー価格保証(2022年9月9日記事参照)」は、10月から全世帯向けに2年間実施することになっているが、支援を必要とする家計に対象を絞ることで支出を削減するとした。

企業向けの支援策「光熱費救済スキーム」(2022年9月22日記事参照)に関しては予定どおり、4月以降の内容についてレビューを行う。レビュー実施の目的は、納税者の負担を計画より大幅削減し、エネルギー効率化に向けた取り組みを一層促進する新たな手法を取ることだと説明した。

ハント財務相は17日、議会下院でも演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。その中ではこれらの措置のほか、独立した専門家による提言を得るため、金融機関や資産運用会社の代表からなる経済諮問委員会を設置することを表明した。

(山田恭之)

(英国)

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