GIFTシティーでICICI銀行が新たな金融サービス開始

(インド)

アーメダバード発

2022年12月07日

グジャラート(GJ)州政府がインド初の国際金融経済特区として開発を進める「GIFTシティー」では、日系の三菱UFJ銀行をはじめ、既に多くの外資・地元金融機関が拠点を開設しており(2022年6月1日記事2022年9月26日記事参照)シンガポール証券取引所(SGE)とインド証券取引所(NSE)の提携(2022年5月12日記事参照)、国際地金取引所の開設(2022年8月10日記事参照)、新開発銀行の誘致、フィンテック企業の進出(2022年9月29日記事参照)など、さまざまな動きが相次いでいる。その一方で、スマートシティとしての都市機能の充実に向けた都市整備も着々と進んでいる。GIFTシティーに支店を置く民間銀行ICICIバンク(注)は11月21日、独自に新たな2つのサービスを開始すると発表した。

今回、同行が新たに導入したのは、(1)外貨建て預金担保融資(Loan against Deposits:LAD )、(2)在外インド人を対象とした「ドル建て債券」(Dollar Bond)の2つで、これらはGIFTシティーでは初めて導入されるサービスだ。概要は以下のとおり。

1.外貨建て預金担保融資(LAD)

LADは、インド国内の預金(ルピーでの非居住者定期預金:NRE FDを含む)に対する外貨建て融資に類似するもの。預金者は、短期的な資金需要に対して、定期預金を早期解約することなくLADを利用することが可能であるため、預金解約のペナルティーを回避することができる。最大で預金額の95%まで利用可能で、簡単な書類手続きにより、固定金利や変動金利など、柔軟な金利設定も可能。

2.ドル建て債券

在外インド人(Non Residencial Indian:NRI)のための代替的な投資オプションとして、ICICIバンクGIFTシティー支店でドル建て債権を予約することができる。同支店では、50社以上の企業債券を取り扱っている。

インドでは、インド人は基本的に外貨建て融資を受けることができないため、これらの新サービスは国際金融特区であるGIFTシティーならではのもの。諸外国で働くNRIも多いため、一定の需要が見込まれるものとみられる。また、一般的にインドでは金利が高く、民間銀行としても比較的裕福なNRIをターゲットにして預金を取り込みたいという事情もあるようだ。

GIFTシティーには、さまざまな企業の参入が相次ぎ、徐々にその機能と都市の全貌を明らかにさせつつある。現地報道によると、GIFTシティーの都市領域を現在の3倍の1,000エーカーから3,000エーカー(約404~1,214ヘクタール、1エーカー=約0.4ヘクタール)に拡大する計画もあるという。実現すれば、2兆4,000億ルピー(約4兆800億円、1ルピー=約1.7円)規模の新規投資が見込まれ、「グローバル都市」となったGIFTシティーは、同じくGN州のアーメダバード、ガンディナガールとともに「三つ子都市」として発展する可能性も伝えている(「タイムズ・オブ・インディア」紙11月20日)。

(注)インドの大手民間銀行。総資産は2022年6月30日現在、14兆1,558億1,000万ルピー。現在、インド全土に5,534の支店と1万3,222台のATMのネットワークを有する。

(古川毅彦)

(インド)

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