第3四半期GDP成長率、前年同期比3.6%、前期比は2期連続で鈍化

(ブラジル)

サンパウロ発

2022年12月14日

ブラジル地理統計院(IBGE)は12月1日、2022年第3四半期(7~9月)の実質GDP成長率を発表した(添付資料表参照)。前年同期比で3.6%、前期比(季節調整済み)では0.4%だった。前期比は2022年第1四半期(1~3月)の1.3%をピークに2期連続で鈍化した。IBGEが現在公開している1996年以降の統計でみると、四半期ごとのGDPとしては過去最高額となる2兆5,440億レアル(約65兆6,352億円、1レアル=約25.8円)を記録した。

前年同期比GDP成長率の伸びは個人消費、サービス業の牽引際立つ

前年同期比を産業別にみると、農畜産業が3.2%増、工業が2.8%増、サービス業が4.5%増だった。GDP全体の約6割を占めるサービス業が好調だった理由として、IBGEのレベッカ・パリス国民経済計算コーディネーターは「新型コロナウイルス感染拡大によって需要が減っていた対面のサービスが徐々に回復していることが影響している」と解説した。

12月1日付のIBGE公式プレスリリースによると、情報サービス(6.9%増)が好調だった理由として、ソフトウエアやインターネットサービスの開発が進んでいることを挙げている。工業では、電気・ガス・上下水道・都市清掃が11.2%と大きく増加したことなどが押し上げ要因となった(注)。

需要要素別に見ると、GDPの約6割を占める個人消費支出が4.6%増加し、2021年第2四半期(4~6月)以降6期連続で増加している。IBGEは、個人消費支出の増加は労働市場の拡大や失業率の低下に加え、インフレ上昇率が比較的抑えられたこと(2022年8月18日記事2022年9月26日記事2022年10月21日記事参照)、政府が低所得者層向けの現金給付策(アウシリオ・ブラジル)などの継続が消費を喚起していると説明している。

(注)ブラジルでは現在、電気代の追加料金は水力発電所のダム貯水量や火力発電所の稼働率を基に算定している。追加料金は「緑」「黄色」「赤1」「赤2」の4段階の色で示し、「緑」の場合は追加料金がない。前年の第3四半期(7~9月)中の2021年9月以降、既存の4段階を上回る追加料金を課す「渇水」レベルを設定していたが、2022年4月16日以降は「渇水」から「緑」に変更した。

(古木勇生)

(ブラジル)

ビジネス短信 6d636e3e7cebbd46