特殊鋼分野の生産連動型奨励策(PLI)承認企業決定

(インド)

ニューデリー発

2022年12月15日

インド鉄鋼省は12月9日、特殊鋼分野における生産連動型奨励策(PLI)(2020年5月21日記事参照)で、計30社(案件数は67件)の申請を承認したと発表した。同省によると、承認された案件が全て計画どおり行われた場合の投資総額は4,250億ルピー(約7,225億円、1ルピー=約1.7円)で、関連鉄鋼製品の追加生産能力は2,600万トンに上り、7万人分の新規雇用が創出される見込みだ。

計632億2,000万ルピーの予算が計上された特殊鋼分野のPLIでは、金属・非金属合金の表面処理鋼板や、自動車パワートレイン鉄鋼部品など25項目の対象製品に対し、最低投資額、最低生産能力、最低年間増産率などの基準がそれぞれ設けられた。今般の発表により、同一企業が複数項目に応募できる仕組みとなった結果、9月15日の申請期限までに計35社(79件)の応募があった。今回承認された30社には、アルセロール・ミタル日本製鉄(4件)、JSWスチール(2件、注)、バルドマン・スペシャル・スチール(1件、注)などの日系各社も名を連ねた。

インド政府は「メーク・イン・インディア」(2018年3月30日付地域・分析レポート2021年4月22日付地域・分析レポート参照)や「自立したインド」(2020年5月14日記事2020年5月20日記事参照)といったスローガンの下、国内製造業の振興を図っている。2020年度(2020年4月~2021年3月)に開始したPLIはその目玉政策の1つで、14の重点分野における新規生産設備の投資計画に対し、5年間前後にわたり一定のインセンティブを承認した企業に支払う仕組みだ。ただ、インセンティブの適用に当たっては、各企業は、年度ごとの追加投資額や売上増加額などの各基準を満たす必要がある。

インド政府による各分野のPLIスキームの下、日系企業もこれまでに20社以上が新規・追加投資計画に対して承認を受けている(添付資料表参照)。なお、2022年度内にPLIの新規応募を7分野において追加実施する予定とされているが、詳細は現時点でまだ発表されていない。

(注)JSWスチールにはJFEスチールが、バルドマン・スペシャル・スチールには愛知製鋼がそれぞれマイナー出資をしている。

(広木拓)

(インド)

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