広範な経済対策パッケージの全容が明らかに、「自立したインド」構想の具体化

(インド)

ニューデリー発

2020年05月20日

インドのニルマラ・シタラマン財務相は5月13日から17日にかけ、5日間連続で会見を開き、総額約20兆ルピー(約28兆円、1ルピー=約1.4円)の経済対策パッケージの全容を明らかにした(添付資料表参照)。このパッケージは、モディ首相が5月12日の演説(2020年5月14日記事参照)で打ち出した「自立したインド」に向けた構想の詳細となる。

会見初日には中小企業向けの支援策約5兆9,000億ルピー分(2020年5月19日記事参照)、2日目に出稼ぎ労働者や農家、小規模事業者、露天商向けの支援策約3兆1,000億ルピー分(2020年5月19日記事参照)を発表。15日の3回目の会見で農林水産・酪農・畜産業関連のインフラ整備やガバナンスの強化などを盛り込んだ約1兆5,000億ルピー分の支援策、16日の4回目の会見では、石炭、鉱物、防衛、空港・航空宇宙、連邦直轄領の配電公社、宇宙産業、原子力、民間航空など8つの部門の構造改革、そして最終日の会見では、全国農村雇用保障法(注)プログラムへの4,000億ルピーの追加支出や、オンライン診療や新型コロナウイルス感染者との接触履歴トレースアプリ「Aarogya Setu」の普及など、医療のデジタル化の取り組みを発表した。さらに、税制の簡素化や許認可プロセスの合理化など、世界銀行が毎年実施する「ビジネスのしやすさランキング」の順位向上を意図した具体策も明らかにした。

そのほか、3月に発表済みの第1弾の経済対策パッケージ(2020年3月27日記事参照)や、インド準備銀行(RBI、中央銀行)の支援策(2020年4月27日記事参照)を合わせて政府が発表した経済支援は総額約20兆ルピーとなった。

各項目の詳細は、以下のウェブサイトを参照。

(注)政府による雇用機会の提供を通じて農村地域の貧困世帯の生活水準を高めることを目的とした公的雇用プログラム。

(磯崎静香)

(インド)

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