モンゴル中銀が年内4回目の利上げ実施、13%に

(モンゴル)

北京発

2022年12月27日

モンゴル銀行(BOM、中央銀行)は12月15日と16日に開催した通貨政策決定会合で、経済・金融市場の現状や内外の経済環境の見通し、リスクを踏まえ、政策金利を1.0ポイント引き上げて年13%にすると決定した(12月16日発表)。3月、6月、9月に続き2022年に入って4回目の利上げとなる(2022年4月19日記事6月28日記事10月14日記事参照)。

11月の全国のインフレ率(前年同月比)は14.5%。BOMは、従来の予想どおりここ数カ月のインフレ率は低下傾向にあるものの、今後、数四半期は世界的なインフレや食料、燃料価格上昇などの影響を受け、政府の予算支出や賃金の伸び率が予想よりも高くなるとの見方を示した。

BOMはモンゴル経済の現状について、以下のとおり分析している(注)。

  • 2022年第3四半期(7~9月)の経済活動は予想よりも比較的堅調で、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回った。
  • ここ数カ月、鉱業と運輸部門が回復し、建設部門は鉄道建設により成長した。
  • 非鉱業部門(貿易、サービスなど)は2022年第3四半期も引き続き活発だった。
  • 労働市場は新型コロナ感染拡大以前の水準に戻り、家計消費は過去4四半期連続で着実に増加しており、経済成長にプラスの効果をもたらしている。
  • 今後の経済見通しは、主に中国の「ゼロコロナ政策」や国境税関の状況、国際収支の赤字、実際の輸出収益などに左右される。
  • 世界経済の成長の鈍化、モンゴルの主要な輸出原材料の価格下落など、外部環境の見通し悪化に伴い、2023年は財政支出の急増が輸入需要を刺激し、内外収支に悪影響を及ぼす。
  • 賃金の上昇に伴って消費者ローンの伸びが強まり、家計債務と消費財輸入が増加する見込み。

BOMの金融政策委員会は「インフレを中期的に安定化させ、自国通貨トゥグルクの利回りを高める目的で政策金利の引き上げを決定した。この措置は、インフレ率を目標水準まで引き下げ、経済の内外バランスを確保するという政府の政策とも合致している」と述べた。また「今後、金融引き締めを継続するかどうかは、国内外の経済環境の変化やインフレ率、経済見通しの変化に応じて判断し、インフレ率が目標水準で安定化するまで必要な措置を実施し続ける」とコメントした。

(注)モンゴルの最近のマクロ経済指標の動向については「モンゴル経済概況(2022年12月)」を参照。

(藤井一範)

(モンゴル)

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