中銀、政策金利を3月に続いて引き上げ、10%に

(モンゴル)

北京発

2022年06月28日

モンゴル銀行(BOM、中央銀行)は6月20日と22日に開催した通貨政策会合で、経済・金融市場の現状や内外の経済環境の見通しやリスクを踏まえ、政策金利を1.0ポイント引き上げ、年10%にすることを決定し、23日に発表した。前回3月24日の引き上げに続く措置となる(2022年4月19日記事参照)。

5月のインフレ率(前年同月比)は全国で15.1%、首都ウランバートルでは16.2%となり、石油や食料品、輸入製品の価格上昇がインフレの大部分を占めた。

国際市場での原油価格上昇により国内の燃料価格が上昇、加えて、物流の遅延と供給の混乱が続いていることがインフレの要因だ。特に、過去2カ月間の食料価格の高騰は生産コストと輸送コストの上昇によるところが大きい。

BOMによると、外国でのインフレと通貨トゥグルク安による輸入品価格の上昇がその他の国内製品の価格上昇に寄与しており、これらの要因の影響は今後、数四半期にわたって継続する見込みで、インフレ率がBOMの定める目標範囲内で安定する見通しが立たないとした(注1)。

BOMはモンゴル経済の現状について、以下のとおり分析している(注2)。

  • 中国による国境通過制限によって石炭、原油の輸出が鈍化し、鉱業部門の成長は期待していた水準に達していないが、非鉱業部門(貿易、サービス、製品など)の生産が改善し、経済成長を支えた。
  • 家計消費は2022年第1四半期(1~3月)に5四半期ぶりに回復に転じ、内需拡大に寄与した。鉱業部門の成長は外需や国境制限などの制約により2022年は鈍化する一方、非鉱業部門は新型コロナウイルス関連の規制緩和や内需の改善を背景に回復が続く見込み。
  • 外的要因と地政学的緊張の継続によるインフレ期待の高まりや、国境通過制限の継続による石炭輸出の減少、外国市場での商品価格上昇による輸入額の上昇、これらが国際収支の赤字拡大の要因となっている。

上記のようなことから、BOMの金融政策委員会はインフレ期待を中期的に安定化させ、経済の内外バランスを適正水準に維持し、国外で金融引き締めが行われている状況下でも通貨トゥグルクの相対的価値を維持する目的で、政策金利の引き上げを決定したと述べた。

(注1)モンゴルの通貨安については2022年4月27日記事参照

(注2)モンゴルの最近のマクロ経済指標の動向については「モンゴル経済概況(2022年6月)」を参照。

(藤井一範)

(モンゴル)

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