在中国のEU・欧州各国商会が新型コロナ防疫措置に関する意見書を提出

(中国)

北京発

2022年11月30日

在中国欧州企業などから構成される中国EU商会は11月25日、同月23日に中国国務院共同防疫メカニズムが打ち出した「新型コロナウイルス感染拡大の予防抑制措置をよりいっそう合理化し、科学的で精密な防疫を徹底する通知外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(いわゆる「防疫20条」、2022年11月15日記事参照)に対する意見書を商務部および中国国際貿易促進委員会(CCPIT)に提出したと発表した(注1)。

EU商会は同通知について、全国統一的に、適切に解釈・実施されれば、市民生活を通常に戻すための重要な一歩になると歓迎する一方で、その内容をよく理解していない地方政府によって適切な準備なしに実施されたことで、省や都市、地区によって運用が異なる、企業の操業・生産停止などの基準が統一されていないといった問題が起きていると提起した。また、多くの場合、地方政府は公式文書ではなく口頭もしくは非公式のチャンネルを通じて、非常に短期間での生産停止を求めてくるため、そうした行為が不確実性を高め、ビジネスマインドの低下につながっているとも指摘した。そのほか、通知に盛り込まれた国際旅客便のサーキットブレーカー制度廃止(注2)についても、廃止自体は歓迎するものの、国際旅客便の急速な増加や往来の回復には関連政策の策定や関係国との2国間交渉が必要と指摘した。

EU商会は、上記の問題点を指摘した上で、防疫20条の実施を改善するための提言として、高齢者などへのワクチン接種促進、中国国内の移動を円滑化するための全国版健康コードの実現、地方政府や社区(コミュニティー)に対して防疫規制を遅滞なく伝達し理解させることによって通知の実施にあたっての一貫性を確保すること、隔離要求を遡及(そきゅう)して行わないこと、20条に沿わない封鎖や大規模な営業・操業停止を行わないこと、mRNAワクチンの市場投入や抗ウイルス薬の普及を含む一連の措置に関する明確なタイムスケジュールの提示などを求めている。

(注1)中国英国商会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます、中国フランス商会、中国ドイツ商会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも同様に「防疫20条」に対する意見書を提出している。なお、在北京日系企業などからなる中国日本商会は11月11日に北京市外事弁公室に対して「北京市外との移動規制に係る要望書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を提出している(2022年11月15日記事参照)。

(注2)国際旅客便について、中国到着時のPCR検査で確認された陽性者数に応じて運航停止や便数の増減を行うもの(2020年6月9日記事2020年12月24日記事参照)。

(小宮昇平)

(中国)

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