米財務省、為替報告書を公表、日本の為替介入への批判はなし

(米国、日本、中国、韓国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾)

ニューヨーク発

2022年11月11日

米国財務省は11月10日、為替政策報告書PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を公表した。同報告書は半期に一度、議会に提出されるもので、今回は財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、2022年6月までの直近1年間の為替政策を分析・評価した。

今回の報告書では、バイデン政権発足以降のこれまでの3回(2021年4月20日記事12月7日記事参照6月14日記事参照)と同様に、「為替操作国・地域」に該当する国・地域はないと結論づけた。為替操作国・地域認定は、2015年の貿易円滑化・貿易執行法に基づく3つの基準(注1)の全てを満たしているかどうかを基に判断する。前回の報告書で、これらの基準を全て上回っているとしたスイスが引き続き基準を全て上回っていると指摘したものの、対外不均衡是正に向けた2国間協議を続けているなどとして、前回に引き続き為替操作国・地域認定は見送った。なお、「為替操作監視対象」リスト(注2)には、日本、中国、韓国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾の7カ国・地域が指定された。前回は指定されていたイタリア、インド、タイ、メキシコ、ベトナムの5カ国は同リストから今回外れた。

今回の報告書では日本が9月に行った為替介入に言及した。「日本銀行が緩和的な政策を維持し(日米)金利差が拡大した」ことなどによって円は対ドルで約25%下落したが、「為替変動が激しく、無秩序な為替の乱高下を抑制する目的で介入した」と評価し、批判的な記述は控えた。一方で、為替介入は「事前に適切な協議を行いつつ、極めて例外的な状況にのみ限定されるべき」とこれまでと同じ表現を踏襲し、為替介入自体には引き続き慎重な姿勢も示した。

中国については、為替介入を行っているかどうか自体を公表しておらず、為替レートの仕組みについて透明性を欠いている異例の国として前回と同様に批判し、引き続き中国の為替管理や規制などが為替レートに与える影響を財務省は注意深く監視していくとした。

(注1)財・サービス貿易の輸出入総額上位20カ国・地域を対象に、(1)大幅な対米貿易黒字(年間150億ドル以上の財・サービス貿易黒字額)、(2)GDP比3%以上の経常収支黒字、または為替レート評価フレームワーク(GERAF)を用いて財務省が実質的に経常収支「ギャップ」があると推定した場合、(3)外貨の純購入が繰り返し行われる持続的で一方的な為替介入(過去12カ月間のうち8カ月以上の介入、かつGDP比2%以上の介入総額)という3つの基準。

(注2)上記3基準のうち2つに該当した国・地域は「監視対象」リストに登録される。登録されると、少なくとも今後2回の報告書で監視対象国・地域として取り上げられ、3つの基準での改善が一時的でなく永続的なものとなっているかどうかについて評価される。

(宮野慶太)

(米国、日本、中国、韓国、ドイツ、マレーシア、シンガポール、台湾)

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