ベルギー、COP27議長国エジプトと共同でグリーン水素フォーラム設立へ

(ベルギー、エジプト)

ブリュッセル発

2022年11月15日

ベルギー連邦政府のアレクサンドル・ド・クロー首相は11月9日、エジプトで開催中の国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)のサイドイベントとして開催されたグリーン水素に関するハイレベルラウンドテーブルで、COP27議長国のエジプトと共同で「世界再生可能水素フォーラム」の設立を発表(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます2022年11月15日記事参照)した。

同フォーラムは、地球規模でのグリーン水素(注)の活用促進に向けた協議の場として、各国政府のほか、公的機関や民間企業、港湾当局、政府間組織など幅広いステークホルダーの参加を予定している。グリーン水素の大規模な展開を促し、地域産業の脱炭素化や水素経済への公平な移行と、それによる環境と社会経済の利益の獲得を目指す。さらに、グリーン水素の国境を越えた取引を促進する最善な手段の特定を目指すとしている。

具体的には、各国・地域の既存のグリーン水素イニシアチブを活用・調整しつつ、以下の項目に取り組む。

  1. 先進国と途上国、グリーン水素の生産者・消費者に加え、関連政府機関、港湾当局、国際的な産業リーダー、投資家など、あらゆるステークホルダーを巻き込んだグリーン水素の世界フォーラムを設立する。
  2. 水素の貿易ルートの確立を促し、需給バランスを整えることで、潜在的な水素市場を活性化し、再生可能エネルギーに対する世界的な需要を満たす。また、認証システムの統一化など規制上の障壁を特定し、除去することを目指す。
  3. グリーン水素の脱炭素効果を最大化するために、最適かつ費用対効果の高いインセンティブメカニズムを特定する。
  4. 途上国のグリーン水素プロジェクトへの投資を促すことで、水素経済への公平な移行を達成する。これにより、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への貢献や、持続可能な成長を促す。また、全ての人が再生可能エネルギーを適正な価格で利用できるようにするとともに、クリーンな仕事の提供や、物資・環境・社会経済の利益の創出を目指す。

同フォーラムには、国際再生可能エネルギー機関(IRENA)、国連工業開発機関(UNIDO)、水素関連の企業・団体が参加する水素協議会(The Hydrogen Council)、緑の気候基金(Green Climate Fund:GCF)が、主要パートナーとして参画している。

ベルギーは新たな水素戦略を策定し(2022年10月26日記事参照)、アントワープ・ブリュージュ港を中心として、欧州のグリーン水素供給ハブを目指し、各種の取り組みを進めている(2022年5月11日記事2022年9月2日地域・分析レポート参照)。

(注)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素を排出しない。

(大中登紀子)

(ベルギー、エジプト)

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