尹政権のカーボンニュートラル・グリーン成長推進戦略を公表

(韓国)

ソウル発

2022年11月01日

韓国で「カーボンニュートラル・グリーン成長法」(2021年9月6日記事参照2022年3月25日記事参照、注1)に基づき、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権のカーボンニュートラル政策の中心的役割を担う「カーボンニュートラル・グリーン成長委員会」が発足、10月26日に韓悳洙(ハン・ドクス)国務総理(首相)主催で初会合が開かれた。会議では「カーボンニュートラル・グリーン成長推進戦略」と「カーボンニュートラル・グリーン成長技術革新戦略」が発表された。

「カーボンニュートラル・グリーン成長推進戦略」は、文在寅(ムン・ジェイン)前政権で策定した韓国の2050年カーボンニュートラル達成に向けた部門別の削減目標(2021年10月27日記事参照)について、尹政権の脱原発政策(2022年6月23日記事参照)の転換に伴う温室効果ガス(GHG)排出の部門別削減の変更や、前政権のGHG削減の施策が不十分との産業界の指摘を反映し、新たな戦略として発表されたものだ。また、カーボンニュートラル達成に向けた技術開発については、「カーボンニュートラル・グリーン成長技術革新戦略」として、基本的方向性を定めた。

1.カーボンニュートラル・グリーン成長推進戦略

(1)責任ある実践、(2)秩序ある転換、(3)革新主導の3大政策の方向性の下、4つの戦略と12の課題を策定した。具体的には、原発・再生可能エネルギーのバランスの確保、脱炭素・新電源の導入などのエネルギーミックスの再構築、ICT(情報通信技術)活用による効率性の最適化、市場原理に基づいた制度設計などが含まれる。

2.カーボンニュートラル・グリーン成長技術革新戦略

(1)民間主導のカーボンニュートラル技術の革新、(2)迅速・柔軟なカーボンニュートラルの研究開発(R&D)投資、(3)革新的な技術開発のための基盤構築の3つの方向性を設定した。さらに「韓国版カーボンニュートラルの100の核心技術」(注2)の選定や「省庁横断型のR&D予算配分の調整体制」などの課題を推進する。

今後は両戦略に基づく詳細計画として、「温室効果ガス削減実施ロードマップ」「国家カーボンニュートラル・グリーン基本計画」を策定する予定。

(注1)カーボンニュートラル基本法では「2030年の温室効果ガス(GHG)削減目標を2018年比で35%以上削減する」、同施行令で「2030年ごろまでのGHG削減目標を2018年比で40%削減する」とそれぞれ規定。

(注2)「エネルギー転換」では、超高効率太陽電池システム、小型モジュール炉(SMR)開発、「産業」では、水素還元製鉄の製造技術、燃料油の基礎化学燃料への転換技術、「建物・環境」では、超断熱材・設備技術、「輸送」では、次世代二次電池技術、シリコンカーバイド(SiC)パワーデバイス技術などが含まれる。

(当間正明)

(韓国)

ビジネス短信 8c7fcb5e5c8da889