カーボンニュートラル基本法成立、2030年温室効果ガス削減目標は2018年比35%以上

(韓国)

ソウル発

2021年09月06日

韓国環境部は8月31日、気候変動問題への対応と2050年カーボンニュートラル達成のための法的基盤として、「気候危機対応のためのカーボンニュートラル・グリーン成長基本法」が国会で可決され、9月中に公布する予定と公表した。

韓国政府は2020年12月、国連に対し「長期低炭素発展戦略」(Long-term low greenhouse gas Emission Development Strategy:LEDS、韓国外務省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます参照)を提出した。カーボンニュートラル基本法は、2030年と2050年の目標達成のための法的手続きと政策手段を規定し、環境部は同法のポイントを説明している。主な内容は以下のとおり。

1.2050年カーボンニュートラル達成に向けた実質的な中間目標を設定

(1)2030年の温室効果ガスの削減目標を2018年比35%以上と設定し(注)、社会的な議論を開始する。

(2)想定する2018年から2050年までの温室効果ガスの削減スケジュールでは、2030年に37.5%の削減を達成した場合、2050年にカーボンニュートラル達成が可能。よって、カーボンニュートラル基本法での削減目標を「35%以上」とした。

2.カーボンニュートラル達成に向けた政策手段の確立

(1)国の主な計画と開発事業を実施する場合、気候変動への影響を評価する「気候変動影響評価制度」を導入する。

(2)国の予算を策定する際、温室効果ガスの削減目標を設定・確認する「温室効果ガス削減認知予算制度」を導入する。

(3)産業構造の転換と産業工程の改革などを支援するため、「気候変動対応基金」を設置する。

3.カーボンニュートラルによって生ずる脆弱(ぜいじゃく)地域・階層の転換支援

石炭を基盤とした産業や内燃機関産業など、カーボンニュートラル社会へ進む過程で被害を受ける可能性のある地域と階層を保護するため、特別地区を指定し、支援センターなどを設立する。

ハン・ジョンエ環境部長官は「カーボンニュートラル基本法の制定を通じ、韓国が今後30年間推進していく政策の根幹が整った」と述べた。また「今後法律で規定された社会的な議論を経て、中長期的な温室効果ガスの削減目標を設定するとともに、気候変動影響評価制度などの新たに施行される制度の設計を進めるなど、準備に万全を期していきたい」と強調した。

(注)韓国政府が提出したLEDSでは、2030年までに2017年比で温室効果ガスを24.4%削減するとしていた(2021年3月2日付地域・分析レポート参照)。

(当間正明)

(韓国)

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