8月の主な動きはペロシ下院議長の訪台やCHIPSプラス法の成立、ジェトロ月例レポート(2022年8月)

(米国、中国)

米州課

2022年10月05日

ジェトロは9月29日、米国の対中国関連政策についてまとめた8月分の月例レポートを公表した。このレポートは、日本企業が米中関係に関する米国の動向を把握できるよう、2021年7月から毎月分を作成して特集ページに連載している。

2022年8月に起きた動きの中で特に注目すべきものとしては、8月2~3日のナンシー・ペロシ下院議長の台湾訪問と「CHIPSおよび科学(CHIPSプラス)法案(H.R.4346外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」の成立が挙げられる。ペロシ議長は、グレゴリー・ミークス下院外交委員長やマーク・タカノ退役軍人委員長らとともに訪台し、8月3日午前に蔡其昌・立法院副院長と、午後には蔡英文総統および呉釗燮外交部長と会談を行った(2022年8月4日記事参照)。

米国議会およびバイデン政権は、ペロシ議長の訪台前後で「1つの中国」の基本政策は変わらないことを繰り返し強調しつつ、中国による一方的な現状変更には反対するとの原則的立場を表明している。一方、中国側は、ペロシ議長の訪台を受けて台湾周辺での軍事演習を活発化させているほか、米中間の協力の中止・停止に関するする8つの対抗措置を発表するなど、反発の姿勢をみせている(2022年8月9日記事参照)。一部のシンクタンク関係者からは、今回の訪台が結果的に米中間の亀裂を深めたとする声も聞かれる(2022年8月19日記事参照)。

CHIPSプラス法案は、8月25日にバイデン大統領によって署名され、省庁横断の運営委員会の設立が発表された(2022年8月10日記事2022年8月26日記事参照)。同法は当初、半導体を含む重要な産業・技術分野における中国との競争が念頭に置かれていた。しかし、法案審議の過程で、関連する複数の法案に含まれていた対中国制裁色の強い条項のほとんどが削除された。一方で、CHIPSプラス法に含まれなかった、中国に対抗するための経済、貿易、投資面での規制を目的とした各種法案は、連邦議会に依然として提出されている。

米国の対中政策・措置や米国側から見た米中関係の動向を、行政府、連邦議会、産業界、学会に分けて解説する本レポートは、こちらの特集ページからさかのぼって閲覧が可能。米中関係に関する中国の動向も確認できる。

(滝本慎一郎)

(米国、中国)

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