中国、米国へ8つの対抗措置、ペロシ下院議長にも制裁

(中国、米国、台湾)

北京発

2022年08月09日

中国外交部は8月5日、米国のナンシー・ペロシ下院議長が台湾を訪問したことに対し、8つの対抗措置を発表した。米中間の協力を中止・停止するものとなっており、内容は以下のとおり。

  1. 中米両軍の管区幹部間の対話の中止。
  2. 国防部(国防総省)間の事務レベル会談の中止。
  3. 海上軍事安全交渉メカニズム会議の中止。
  4. 不法移民送還に関する協力の停止。
  5. 刑事司法協力の停止。
  6. 国境をまたぐ犯罪捜査協力の停止。
  7. 麻薬取り締まりに関する協力の停止。
  8. 気候変動に関する交渉の停止。

上海の復旦大学米国研究センターの信強副主任は、8つの措置のうち特に気候変動への対応は中国側の協力と支援が不可欠であり、米国にとって影響が大きいとしている(「環球時報」8月6日)

また、外交部は同日、ペロシ議長とその直系親族に対しても制裁を行うと発表したが、具体的な内容は明らかにしていない。

中国の「反外国制裁法」(2021年6月14日記事参照)では「外国が国際法および国際関係の基本的な規範に違反し、さまざまな口実もしくはその国の法律に基づき、中国に対して抑止・抑圧をし、中国公民および組織に差別的な制限措置を講じ、中国の内政に干渉する場合」について、対象となる個人やその配偶者・直系親族、関連組織などに相応の対抗措置を取る権利を有するとされている。

具体的には、中国への入境拒否や中国内の財産差し押さえ、中国内の組織・個人との関連取引や協力などの禁止といった対抗措置を取ることができる。

(河野円洋)

(中国、米国、台湾)

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