上半期の製造業における外国投資認可額、前年からの反動で5割減
(マレーシア)
クアラルンプール発
2022年09月26日
ジェトロが9月9日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2022年上半期(1~6月)の同国の製造業における外国投資認可額は、前年同期比47.1%減の355億708万リンギ(約1兆1,362億円、1リンギ=約32円)だった。MIDAの発表によると、前年同期に大型投資案件〔中国の東方日昇による太陽電池・モジュール製造拠点の設立(422億リンギ相当)、2021年10月1日記事参照〕があったことによる反動減が減少の主因だ。
業種別にみると、全体の約5割を占める電気・電子製品が前年同期比60.8%減の182億9,736万リンギ(53件)だった(添付資料表1参照)。前述した大型案件の反動減が背景にある。次いで、石油製品が51億1,103万リンギ(3件、前年は実績なし)、非金属鉱物が60.4倍の45億125万リンギ(12件)と続いた。
国・地域別では、ドイツが前年同期比43.7倍の85億4,073万リンギ(10件)で首位だった(添付資料表2参照)。うち、98.7%が電気・電子製品関連案件(4件)だった。同国からの大型案件として、半導体大手インフィニオンによる投資案件のほか(2022年6月29日記事参照)、光半導体大手のamsオスラムがケダ州クリムの既存拠点で研究開発および最先端の製造施設を拡張する案件があった
。次いで、ブルネイが、第1四半期の石油製品製造拠点の設立案件により2位となった。3位はシンガポールで、49億9,069万リンギ(31件)が投資されたが、前年同期と比べると88.5%減少した。
日本による製造業投資認可額は、30億2,714万リンギ(13件)で前年同期比118.3倍に増加した。内訳をみると、非金属鉱物が18億3,700万リンギ(1件、前年は実績なし)で首位に浮上した。電気・電子製品が7億7,482万リンギ(2件、前年は実績なし)、機械装置が2億1,915万リンギ(4件、前年は実績なし)、紙・印刷・出版が1億5,000万リンギ(前年同期比20.6倍)、化学・同製品が2,373万リンギ(3件、前年は実績なし)と続いた(添付資料表3参照)。日本からの主な投資案件として、第1四半期の朝日印刷や、コンタクトレンズ大手メニコンによる投資に加え、半導体関連製品を手掛けるフェローテックホールディングスがケダ州クリムでの製造子会社新設(5億リンギ相当)を発表した。
グリーン分野への投資が増加傾向
今後の投資動向について、ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は、マレーシアの政策改革、デジタル化の加速、エンデミックへの移行が、投資促進における重要な触媒になると分析する。地域的な包括的経済連携(RCEP)や環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定(CPTPP)など、複数国間での貿易協定発効(注)による戦略的な地位の向上や、新投資政策である「国家投資願望(NIA)」およびESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みなどにより、グリーン分野への投資が増加すると同行は予想している。
(注)CPTPPについては、マレーシアでは批准に向けた法改正などの準備が進められており、現時点で批准されていない(2022年8月2日記事参照)。
(エスター頼敏寧)
(マレーシア)
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