2021年上半期の製造業の外国投資認可額、前年同期比3.2倍の582億リンギ

(マレーシア)

クアラルンプール発

2021年10月01日

ジェトロが9月17日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2021年上半期(1~6月)の製造業の外国投資認可額は前年同期比3.2倍の581億6,162万リンギ(約1兆5,704億円、1リンギ=約27円)だった(添付資料表1参照)。

電気・電子製品の投資が押し上げ

業種別にみると、全体の8割弱を占める電気・電子製品が前年同期比約12.2倍の460億1,658万リンギと急増した。この分野の大型案件は、中国の東方日昇がケダ州で太陽電池とモジュールを設計・開発・製造する422億リンギ相当の1件で、全体の9割強を占めた。この案件は、マレーシア政府が2020年6月5日に発表した「短期経済回復計画(PENJANA)」の下で、同国に拠点を移転する外資誘致策に承認した最初の投資案件となる。次いで、加工金属製品、食品製造、化学・同製品、ゴム製品も前年同期を上回った。

国・地域別では、シンガポールが前年同期比約9倍の433億1,311万リンギ(36件)で首位だった(添付資料表2参照)。既述の東方日昇はシンガポールの拠点から出資したため、同国による投資認可額の約97.5%は同案件が占めた。韓国は、前年同期比約4.6倍の62億7,609万リンギ(4件)で2位に躍進した。韓国の大型案件は、SK nexilisのサバ州で銅箔(はく)を製造する23億リンギ相当の新規投資だった。3位のオランダの投資も前年同期比約6.4倍の33億8,490万リンギ(6件)と好調だった。うち、電気・電子製品の投資が3件で32億5,500万リンギだった。一方、中国と米国による投資は、それぞれ8割以上減少した。

日本の投資認可額は2桁減

日本からの投資は前年同期比97.7%減の2,560万リンギと、14位(8件)だった(添付資料表3参照)。うち、全体の約半分を占めるプラスチック製品が1,265万リンギ(1件)で1位だった。2021年以降も続いた新型コロナウイルス対策に伴う移動制限令の動向を懸念した様子見とみられる。

アズミン・アリ国際貿易産業相は、上半期の好調からみてマレーシアの安定する経済情勢に外国投資企業が信頼を示しているとした。他方、ASEANビジネス諮問委員会・マレーシアは、米国企業を代表する業種団体との協議会で、マレーシアは依然として魅力的な投資先だが、政治的安定が不可欠だと指摘した(「ザ・スター」紙9月20日)。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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