第1四半期の製造業の外国投資認可額、前年同期から反動減も、日本の投資は大幅増

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年06月29日

ジェトロが6月21日にマレーシア投資開発庁(MIDA)から入手したデータによると、2022年第1四半期(1~3月)の同国の製造業における外国投資認可額は、前年同期比49.3%減の267億9,768万リンギ(約8,037億2,808万円、1リンギ=約31円)だった」(添付資料表1参照)。MIDAによると、減少の背景には、前年同期に大型投資案件〔中国の東方日昇による太陽電池・モジュール製造拠点の設立(422億リンギ相当)、2021年10月1日記事参照〕があったことによる反動減がある。投資額の水準は、新型コロナウイルス感染が拡大し始めた2020年第1四半期の認可額とほぼ同じだった。

業種別にみると、全体の7割弱を占める電気・電子製品が前年同期比61.9%減の177億8,176万リンギと2桁減だった。前述した大型案件の反動減のためとみられる。次いで、石油製品が51億1,103万リンギ(前年は実績なし)、非金属鉱物が36.2倍の18億5,632万リンギと続き、この3業種が全体の9割強を占めた。

国・地域別では、ドイツが前年同期比60.5倍の84億4,024万リンギ(6件)で首位だった(添付資料表2参照)。半導体大手インフィニオンがケダ州クリムの既存拠点に第3製造棟を建設すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ブルネイはペトロベンチャー・エネルギーによるサバ州での石油製品製造拠点の設立案件(1件)を背景に2位に浮上した。3位の米国は前年同期比18.6倍の38億5,227万リンギ(12件)だった。MIDAは同国TTMテクノロジーによるプリント回路基板の工場新設(5億5,000万リンギ相当)に言及している外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

日本の製造業の投資認可額は前年同期比312.4倍の30億1,689万リンギと好調だった(添付資料表3参照)。内訳をみると、非金属鉱物が18億3,700万リンギ(1件)で首位だった。電気・電子製品が7億7,482万リンギ(2件、前年は実績なし)、機械装置が2億890万リンギ(2件、前年は実績なし)、紙・印刷・出版が1億5,000万リンギ(前年同期比20.6倍)と続いた。金額は非公開だが、朝日印刷が2022年2月に各種包装資材の販売会社ハーレーと同製造会社シンニッポン・インダストリーズの完全子会社化を発表した外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。その他の大型案件として、コンタクトレンズ大手メニコンは3月、ケダ州クリムでの使い捨てコンタクトレンズ製造工場設立(6億5,000万リンギ)を行うと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

投資認可総額の通年見通し、新型コロナ前の水準との予測も

MIDAによると、2022年第1四半期の外国と国内を合計した投資認可額は前年同期比56.6%減の428億リンギだった。うち、製造業が300億リンギと全体の70.0%を占めた。ユナイテッド・オーバーシーズ銀行(UOB)は2022年通年の同投資認可額の見通しについて、新型コロナウイルス流行前の水準の約2,000億リンギに到達すると予測PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)している。政府による集中的な貿易促進・投資誘致ミッションの派遣が追い風になる一方で、世界的な景気後退リスクなどの懸念要因もあると分析した。

(エスター頼敏寧)

(マレーシア)

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