2022年上半期の日中貿易、日本の輸入は過去最高を更新

(中国、日本)

中国北アジア課

2022年08月09日

ジェトロがグローバル・トレード・アトラスを基に、日中貿易を双方輸入ベース(ドルベース)で分析したところ(注1)、2022年上半期の日本の対中輸出(中国の対日輸入、以下同)は、前年同期比7.5%減の9361,898万ドルとなった。一方、日本の対中輸入は、2.4%増の9266,737万ドルと、上半期ベースで過去最高を記録。日本の対中貿易収支は、95,160万ドルの黒字となり、黒字幅は前年同期から983,340万ドル縮小した。

中国では2022年に入り、新型コロナウイルスのオミクロン株感染が複数地域で拡大した(2022530日記事参照)。上海市では、3月末から5月にかけて封鎖管理を実施し、国内の生産活動や物流が停滞。日本との貿易にも一定程度影響した可能性がある。

輸出は、比較対象となる2021年上半期の基数の高さも減少の一因とみられる。同年上半期には、各国における新型コロナ禍での経済再開による需要回復などを受けて、上半期ベースで過去最高を記録していた。

輸出の上位10品目(HSコード4桁ベース、金額順)をみると、8位のコンデンサー(8532)を除く9品目で軒並み減少した(添付資料表1参照)。最大の押し下げ要因となったのは、輸出額全体の約1割を占め金額1位の集積回路(8542)で、前年同期比8.3%減の953,880万ドルだった。

2位の半導体等製造用機器(8486)も13.3%減の556,974万ドルとなった。うち、半導体デバイスまたは集積回路製造用機器(848620)は、前年同期の急増(75.2%増)からの反動減もあり15.3%減となった。

3位の乗用自動車その他の自動車(8703)は前年同期比11.9%減。同品目の4割を構成し、大幅増を続けていたハイブリット車(870340)が29.9%減と減少に転じた。世界的な半導体の供給不足に加え、上述の上海市での都市封鎖などを受けたサプライチェーンの混乱から、生産に必要な部品供給が停滞。日本国内の生産にも一定の影響を及ぼしたとみられる。また、4位の自動車の部分品および付属品(8708)も10.3%減となった。

輸入:パソコンなどのテレワーク需要は一巡か

輸入の上位10品目をみると、うち5品目で増加した(添付資料表2参照)。最大の押し上げ要因は、金額5位の集積回路(8542)で前年同期比27.7%増の136,459万ドル。ただし、主要構成品目について数量ベースでみると、記憶素子(854232)は29.5%減、プロセッサーおよびコントローラー(854231)は14.9%減といずれも減少しており、価格高騰の影響がみられる。このほか、6位のトランスフォーマー、スタティックコンバーターおよびインダクター(8504)や、7位の半導体デバイス(8541)も、ともに2桁増で輸入全体の伸びを支えた。

他方、1位の電話機(8517)は前年同期からの反動減もあり9.8%減の999,703万ドルとなった。2位の自動データ処理機械(8471)や4位のモニター(8528)は、テレワーク需要が一巡しつつある中で、前年同期比で減少に転じた。

(注1)貿易統計は、輸出を仕向け地主義、輸入を原産地主義で計上しており、一定量存在する香港経由の対中輸出(仕向け地を香港としている財)が日本の統計では対中輸出に計上されない。したがい、日中間の貿易はいずれかの国の貿易統計より、日中双方の輸入統計を見た方が実態に近いと考えられる。このため、日本の対中輸出は、中国の通関統計による対日輸入を、対中輸入は日本の財務省統計による対中輸入を使用している。

(注22021年通年の日中貿易については、2022年3月25日付地域分析レポートおよび2022年4月4日記事参照。

(小林伶)

(中国、日本)

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