トヨタ、カリフォルニア州の排ガス規制への賛同を表明
(米国、日本)
サンフランシスコ発
2022年08月30日
トヨタ自動車は8月23日、温室効果ガス(GHG)削減とカーボンニュートラル目標についてカリフォルニア大気資源委員会(CARB)およびカリフォルニア州と協調すると発表した。トヨタ自動車は発表の中で、同州とのコミュニケーションを通じて「CARBが気候政策においてリーダーシップを取り、大気浄化法(Clean Air Act)に基づき排ガス基準を設ける権限があることを認識した」と述べている。
同州は2019年11月から、GHG削減を目的に、州政府の車両として内燃機関のみを動力とするセダンの購入を禁止しており(注1)、2020年1月1日からはCARBの方針に従っている特定のOEM(完成車メーカー)の車両のみを購入するよう義務付けている。具体的には、CARBにGHGやゼロエミッション車(ZEV)の基準を設ける権限があると認識し、厳しい排ガス削減目標に継続的にコミットしているOEMだ。今回のトヨタ自動車の発表により、同社の車両は今後、カリフォルニア州政府によって購入される可能性がある。同社は「ゼロエミッション活動を、コアビジネスである自動車を超えて広げていくために、努力することが楽しみだ」としている。
カリフォルニア州は、自動車から排出されるGHGとゼロエミッション車(ZEV)販売に関して、2009年から大気浄化法209条の適用除外を受け独自の基準を設けている(注2)。2019年9月に当時のトランプ政権下で適用除外が撤廃されたが、2022年3月に環境保護庁(EPA)が再認した(2022年3月14日記事参照)。適用除外が撤廃された後、同州はその撤回を求めて連邦政府に対し訴訟を起こした。トヨタ自動車は、ゼネラルモーターズ(GM)や当時のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)などとともに、「持続可能な自動車規制のための連合(The Coalition for Sustainable Automotive Regulation)」として連邦政府を支持するかたちで同訴訟に参加した(2019年11月7日記事参照)。しかし、GMは2020年11月に、ガス規制においてバイデン政権と協調する意思を表明(2020年11月25日記事参照)。同連合も2021年2月に、バイデン政権と協調する意思を表明し、訴訟からの撤退を決定した(2021年2月3日記事参照)。
(注1)警察車両や消防車両などの例外が存在する。
(注2)大気浄化法は、1970年に制定されたGHG排出基準の根拠法で、州や自治体が独自に自動車の排出ガス規制を制定することを禁じている。しかし、同法 209条は、州の規制が連邦基準よりも厳しく、かつ必要不可欠で特別な事情がある場合に、連邦基準の適用除外を認めている。
(田中三保子)
(米国、日本)
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