中国側統計、2021年の日本の対中投資実行額は前年比16.0%増
(中国)
中国北アジア課
2022年07月13日
国家統計局運営のウェブサイト「国家データ」によると、日本からの2021年の中国への直接投資実行額は前年比16.0%増の39億1,325万ドルとなった(添付資料表、注、2021年7月5日記事参照)。中国側統計に基づいた日本の対中投資は2019年、2020年と2年連続で減少していたが、3年ぶりに増加に転じた。全体に占める構成比は、2020年と同様に2.3%となった。商務部運営のウェブサイト「中国投資指南」などで、2019年1~10月までは毎月上位10カ国・地域の投資実行金額を発表していたが、それ以降は発表されておらず、「国家データ」が主要国・地域の対中投資動向把握の手段となっている。
「国家データ」で2021年の数値が確認できる主要国・地域の状況をみると(7月11日時点)、1位は香港で、前年比24.5%増の1,317億5,642万ドルとなり、全体の75.9%を占めた。次いで、シンガポール(34.5%増の103億3,164万ドル)、英領バージン諸島(1.6%増の52億8,097万ドル)、韓国(11.9%増の40億4,469万ドル)となり、日本は5位。上位5位は2020年と同様だった。
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を大きく受けたことなどを背景に、2020年には多くの主要国・地域からの投資が減少したが、2021年には状況が改善した。米中対立が指摘されている米国からの投資も前年比7.1%増の24億6,746万ドルと増加した。
なお、世界の2021年の中国への直接投資実行額は前年比20.2%増の1,734億8,331万ドルと2桁増になった。2017年以降5年連続での増加となった。商務部の2022年6月14日の発表によると、世界の2022年1~5月の中国への直接投資実行額は前年同期比22.6%増の877億7,000万ドルと好調だ。商務部の束珏婷報道官は6月23日の定例記者会見で、中国への外国投資の安定増加基調は変わっていないと指摘しつつ、関連データからすると、(中国経済は)短期的に一部分野は困難に直面しているが(2022年6月21日記事参照、2022年6月30日記事参照)、多くの多国籍企業が依然として中国への長期的な投資見通しは明るいとみており、引き続き投資を加速する意向があるとの見方を示した。
(注)同ウェブサイトに注釈はないが、過去の商務部発表の数値などと比較すると、銀行・証券・保険分野を含まない数値で、各国・地域の数値には当該国・地域から英領バージン諸島、ケイマン諸島、サモア、モーリシャス、バルバドスなどを経由して中国に投資された金額を含まないとみられる。
(宗金建志)
(中国)
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