5月の主要経済指標が発表、工業生産は前年同月比でプラスに

(中国)

北京発

2022年06月21日

中国・国家統計局は6月15日、2022年1~5月および5月の主要経済指標を発表した(添付表参照、注1)。

1~5月の投資(固定資産投資)は前年同期比6.2%増(1~4月:6.8%増)、そのうちインフラ投資は6.7%増(6.5%増)と1~4月に比べて伸びが若干加速した一方、民間投資は4.1%増(5.3%増)となり、一段と減速した。不動産開発投資は4.0%減(2.7%減)と、減少幅が拡大した。

消費(社会消費品小売総額)は、1~5月が前年同期比1.5%減だった。5月単月では前年同月比6.7%減(4月は11.1%減)となり、伸びは4月に引き続きマイナスだったものの前月からは減少幅が縮小した(注2)。

工業生産増加額(付加価値ベース)は、1~5月が前年同期比3.3%増となった。5月単月では前年同月比0.7%増(4月は2.9%減)と、伸びが前月のマイナスからプラスに転じた(注3)。

消費者物価上昇率は、1~5月平均で1.5%となった。5月単月では2.1%と、2021年11月(2.3%)以来の水準となった4月から横ばいだった。5月末の都市部調査失業率は前月比0.2ポイント低下して5.9%となった一方、16~24歳の調査失業率は0.2ポイント上昇し18.4%となった。

国家統計局の付凌暉報道官は、5月の経済は新型コロナウイルス感染拡大によるマイナスの影響を克服し、回復の勢いを示している、と述べた。一方で、国内経済の回復はいまだ初歩的で、主要な指標の伸びも依然として低く、経済回復の基礎をさらに固める必要がある、とも指摘した。その上で、今後の見通しについては、新型コロナウイルスの感染拡大が有効に抑えられ、安定的な成長のための各種政策措置(2022年6月2日記事参照)の効果が出てくれば、第2四半期の経済は合理的な成長を達成できるとした。

なお、付報道官は、新型コロナの雇用に対するネガティブな影響はいまだ完全には消えておらず、失業率も依然、高水準にあるとの認識を示したほか、若年層の失業率が高い点を特に重視する必要がある、と指摘した(注4)。その上で、卒業シーズンの到来に伴い、大学卒業生が労働市場へ大量に参入することで雇用圧力が一段と高まる可能性がある、との見通しを示した。

(注1)5月の貿易動向については2022年6月17日記事参照

(注2)5月の飲食業収入は前年同月比21.1%減(4月は22.7%減)だった。

(注3)付報道官は、41の主要業種のうち33業種で工業生産増加額の伸びが前月を上回り、31の省・直轄市・自治区のうち22の地域で伸び率が上昇したと指摘した。また、感染拡大の影響が大きかった上海市と吉林省において、工業生産の伸びはマイナスだったものの減少幅は30ポイント以上縮小したと紹介した。

(注4)付報道官は、新型コロナ感染拡大の影響で企業の雇用吸収力が低下している一方、若年層において、より安定的な職に就きたいという傾向が強まっていることが雇用の需給ギャップを拡大させていると分析している。

(小宮昇平)

(中国)

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