経済省の学術審議会、デューディリジェンス法の効率的な運用方法を提言

(ドイツ、EU)

ミュンヘン発

2022年06月22日

ドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)に属する学術審議会外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますは6月15日、2023年に施行される「サプライチェーンにおける企業のデューディリジェンスに関する法律」(2021年6月30日記事参照、注)、および、EUで審議中の「企業持続可能性デューディリジェンス指令案」(2022年2月28日記事参照)に関する報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公表した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

1948年に発足した同学術審議会は、経済政策に関するテーマを自ら選んで審議し、同結果を公表している。審議会には現在、41人の経済・法律分野の研究者が所属。なお、報告書はBMWKの立場を示すものではない。

今回の報告書は、「人権と企業の注意義務(デューディリジェンス義務)」をテーマに、所属委員が2022年4月7日まで審議を重ねた結果を取りまとめたもの。ドイツのデューディリジェンス法、EUのデューディリジェンス指令案の背景、内容を概観した後に、経済面への影響を重点的に分析し、審議会としての提言をまとめた。

具体的には、法の趣旨はサプライチェーンにおける人権、労働者の権利保護にあるということを踏まえた上で、可能な限り効率的に人権が守られているか否かのモニタリング(確認)ができるようにすること、法的に不安定な状態を低減することが重要だとした。すなわち、EU指令においては、重要な人権・労働者の権利関連の国際条約を批准済みで、人権・労働者の権利を保護する法制度が整った国を選定し(ポジティブリスト掲載国)、当該国に所在する企業は企業自身でのモニタリングは不要にすべきとした。一方、ポジティブリスト掲載国以外に所在する企業のためには、その国の(1)人権・労働者の権利の保護が認証された企業(ポジティブリスト掲載企業)、(2)人権・労働者の権利の組織的侵害が証明された企業(ネガティブリスト掲載企業)を選定し、企業が参照できるようにするという提案だ。(1)と(2)のリストに掲載されていない企業についてのみ、個々に企業が権利保護の状況をモニタリングすることで、モニタリングのコストを大幅に削減可能だとした。

報告書は、デューディリジェンス法は国際経済政策における比較的新しい動きで、法律の実効性に関しては実証的な分析ができていないことから、グローバルなバリューチェーン、人権の状況、企業競争力の観点からの検証が重要と結んだ。

ドイツの研究機関であるキール世界経済研究所(IfW)も3月、ドイツとEUのデューディリジェンス法が企業に与える影響の調査結果を公表(2022年3月29日記事参照)、人権や環境尊重の観点からEU域内企業が取引すべきではないEU域外企業をリスト化した「ネガティブリスト」方式の採用を提案している。

(注)ジェトロは2022年5月に同法の参考和訳を公表している。

(高塚一)

(ドイツ、EU)

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