キール世界経済研究所、ドイツとEUのデューディリジェンス法の効果検証

(ドイツ、EU)

ミュンヘン発

2022年03月29日

キール世界経済研究所(IfW)は3月17日、ドイツの「サプライチェーンにおける企業のデューディリジェンスに関する法律」(以下、「デューディリジェンス法」、2021年6月30日記事参照)、欧州委員会が2022年2月に発表した「企業持続可能性デューディリジェンス指令案」(2022年2月28日記事参照)が企業に与える影響などの調査結果を公表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本調査は、ドイツ国内の金属産業の使用者団体を取りまとめる、ゲザムトメタル(Gesamtmetall)がIfWに委託したもの。

IfWは本調査の結論として、デューディリジェンス法もEUのデューディリジェンス指令案も、法の目的である人権や環境の尊重の効果を薄める多大な負の副次効果があるとした。一番の問題は、貧困国のサプライヤーとビジネス関係を有するドイツ国内企業に、追加的なコストとリスクをもたらすこととした。この結果、ドイツ企業がこのような国・地域からの原材料や中間財の調達を減らし、特に問題があると推測される国のサプライヤーとのビジネスは完全にやめる判断を下す可能性があるという。ドイツ企業がこのような国・地域からの調達を減らす、または停止した場合、当該企業のグローバル・サプライチェーンにおける開発支援的な関与が弱まることになり、結果として、貧困国の1人当たり所得の減少につながる可能性があるという。

その上で、本調査は、デューディリジェンスに関する法律は本来、貧困国とのビジネスコストを増やすべきではないとし、「ネガティブリスト」方式の採用を提案した。本方式は、人権や環境尊重の観点からEU域内企業が取引すべきではないEU域外企業をリスト化するもの。第三国での人権の尊重のための全体コストを抑えられ、かつ、効果的だとしている。

ドイツ南部バイエルン州の経済団体であるバイエルン経済連盟(vbw)も、欧州委員会がデューディリジェンス指令案を発表した2022年2月、同様の「ネガティブリスト」方式導入を検討すべきと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますしていた。vbwは併せて、デューディリジェンスに関する法律の制定と順守が保証されており、デューディリジェンス実施対象から除外できる国・経済圏を限定列挙する「ポジティブリスト」も提案していた。

ドイツ国内では2021年6月、デューディリジェンス法が成立し、2023年1月から施行される。EUの指令案が成立した場合、同指令に適合させる改正が行われることになる。欧州委員会が2022年2月に発表したデューディリジェンス指令案に対しては、欧州レベルの産業団体(2022年2月28日記事参照)、ドイツの主要経済団体(2022年3月2日記事参照)から、一斉に懸念が示されていた。

(高塚一)

(ドイツ、EU)

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