米内務省、公有地での太陽光と風力発電の地代など50%以上引き下げへ

(米国)

ニューヨーク発

2022年06月07日

米国内務省は5月31日、連邦政府が所有する公有地での太陽光と風力発電プロジェクトにおける地代や手数料などのコストを引き下げる方針を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。引き下げ幅は場所などによって異なるとみられるが、従来と比べて50%以上の引き下げを見込むとしている。

バイデン政権は2025年までに公有地での25ギガワット(GW)の太陽光、風力などの再生可能エネルギー発電の建設計画承認、また2030年までに30GWの洋上風力発電設備を設置するという目標を掲げている(2021年12月27日記事参照)。しかし、内務省土地管理局によると、公有地での風力発電には平均で1メガワット(MW)当たり年間5,010ドルの手数料がかかっていることに加えて、場所によって異なるが、例えば、ネバダ州クラーク郡の4,000エーカー(16.2平方キロメートル)の太陽光発電プロジェクトの地代(年間基本賃料)は75万3,360ドル(2010年)だったという。この現状に対し、関係者からは連邦政府の土地や施設の賃貸料や手数料が高過ぎて投資を引き出せないとの不満が出ていたため、今回はこうした声に応えたかたちだ。

また、アリゾナ州、カリフォルニア州、ネバダ州など新たに5カ所の事務所を設置して、公有地での太陽光と風力プロジェクトの申請数の増加に対応するととともに、エネルギー省や環境保護庁の連携を強化していくことも併せて発表している。

内務省によると、2021年度に公有地で開発された再生可能エネルギー発電は2020年度に比べ35%増、2022年度には2021年度を上回る伸びを見込んでいる。実際に2022年度に入ってからは既に2度の洋上風力発電リース権入札を実施し、今後も5エリアでのリース権入札が検討されている(2022年3月2日5月16日記事参照)。インサイド・クライメート・ニュース(Inside Climate News)によると、米国全体でも2022年1~3月期の再生可能エネルギー発電の発電量全体に占める割合は23.5%となり、エネルギー情報局(EIA)による約1年前の2022年通年の予測値22.5%を上回る速度で拡大している(2021年7月12日記事参照)。長引くインフレなど、11月の中間選挙を前に山積する政治課題に集中するバイデン政権だが、再エネへのシフトは着実に進みつつある。

(宮野慶太)

(米国)

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