バイデン米政権で初となる洋上風力発電リース権入札が成立、入札総額は43.7億ドル

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月02日

米国内務省海洋エネルギー管理局は2月25日、ニューヨークおよびニュージャージー州沖合での洋上風力発電のリース権入札が総額43億7,000万ドルで成立したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。バイデン政権になってから初めての洋上風力リース権入札成立で、これまでの同入札の最高額だった2018年の約4億500万ドルを超え、過去最高額を記録した。

リース権入札にかけられた地域はニューヨーク州ロングアイランドとニュージャージー州の間に広がるニューヨーク湾の6つの地域で、その総面積は約49万エーカー(約2,000平方キロ)。生成予定電力量は5.6ギガワット(GW)で、200万世帯近くの電力を賄う量とされる。バイデン政権では2030年までに洋上風力発電を30GWに拡大する目標を掲げており(2021年3月31日記事参照)、今回のプロジェクトが実現すれば、その達成に大きく近づく。

今回入札にかけられた6つの地域の落札企業は、OWオーシャン・ウインズ・イースト(OW Ocean Winds East)、アテンティブ・エナジー(Attentive Energy)、バイト・ウィンド・ホールディングス(Bight Wind Holdings)、ミッド-アトランティック・オフショア・ウィンド(Mid-Atlantic Offshore Wind)、アトランティック・ショアーズ・オフショア・ウィンド・バイト(Atlantic Shores Offshore Wind Bight)(以上5社は欧州系企業)、インベナジー・ウィンド・オフショア(Invenergy Wind Offshore)(米国企業)となっている。なお、6つの地域のうち、最高額は11億ドル 、最低額は2億8,500万ドルだった(添付資料図参照)。

ニューヨーク州やニュージャージー州政府は、2035年までにそれぞれ風力発電を9GW、7.5GWに拡大する目標を掲げている。さらにニューヨーク州では、電力会社に対し2030年までに少なくとも電力の70%を再生可能エネルギー源から供給することを義務付けている。これらの要因から、確実な需要増加が見込まれることも、今回の入札額の高騰につながったもようだ。一方で、入札価格の高騰は、将来的には電力価格に転嫁される可能性もある。

現状の洋上風力発電サイトはロードアイランド州とバージニア州の沖合の2カ所だが、内務省は今回の入札に加え、メイン湾、中央大西洋沖、メキシコ湾、カロライナ沖合、カリフォルニア沖合、オレゴン沖合での洋上風力発電のリース権販売を検討しており(2021年10月25日記事参照)、さらに開発を加速させていきたい意向だ。加えて、メリーランド州やマサチューセッツ州などの州政府の間でも、洋上風力発電開発の動きは広がっている(2021年12月27日記事参照)。しかし、洋上風力発電開発は、周辺海域の生態系への影響など環境汚染についての懸念もよく指摘されている。今回のプロジェクトについても、漁業などへの影響を踏まえ、2021年夏に当初提案されていたリース対象面積(約170万エーカー)から7割強を削減した上で入札が実施された。他地域における洋上風力発電のリース権販売についても、環境への影響に対する懸念の声をうまく調整して進められるか、今後の動向に注目が集まる。

(宮野慶太)

(米国)

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