一汽解放、FCVトラック300台を出荷、輸送分野で利用

(中国)

上海発

2022年06月21日

中国の商用車メーカー大手の一汽解放汽車は6月17日、吉林省長春市において水素燃料電池自動車(FCV)のトラック300台の出荷イベントを開催した。今回の300台のFCVトラックは主に上海市、北京市、山西省などに出荷される。貨物積載、ダンプ、牽引の3種類があり、都市物流、都市建設廃材輸送、港湾輸送などで使用される。

一汽解放汽車は、中国政府のカーボンピークアウト・カーボンニュートラル戦略を断固として貫徹、実行し、グリーン発展を積極的に推進すると表明、2021年に「15333」新エネルギー戦略(注)を発表した。同戦略の中でも、水素燃料電池車は電気自動車やハイブリッド車と並んで、一汽解放汽車にとって重点分野とした。

中国では、水素燃料電池自動車のモデル都市が選定され、商用車を中心に導入が進められている(2021年9月7日2022年4月25日2022年5月9日記事参照)。また、2022年3月23日に発表された「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021~2035年)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」においても、水素エネルギー利用については、交通、エネルギー貯蔵、発電、工業分野での実証や積極的な展開を図るとされており、今回の一汽解放汽車のFCVトラックもこうした流れに沿うものとなっている。

中国自動車工業協会(CAAM)の6月10日の発表によると、2022年5月のFCVの生産台数は前年同月比6.4倍の243台、販売台数は11.4倍の103台となった。1~5月のFCVの生産台数は前年同期比6.8倍の1,277台、販売台数は4.5倍の935台と大幅に伸びている。

(注)一汽解放が発表した新エネルギー戦略「15333」とは、「1」は1つのビジョン、すなわち、デジタル時代の世界商用車技術の牽引者、基準策定者、価値創出者として、「国内首位、世界一流」の新エネルギースマート交通、輸送ソリューションを提供できるよう取り組む。「5」は、「重型(大型)、中型、軽型(小型)、微型(超小型)、乗用車」からなる5種類の完成車製品ラインアップ。1つ目の「3」は、電気自動車、ハイブリッド車、FCVの3つの技術的路線。2つ目の「3」は、研究開発、生産能力、産業エコシステムの3分野への進出。最後の「3」は、車電分離(車体と電池を分離する電池交換式サービス)、自動車リースおよび輸送受託、中古車および電池回収の3つの新エネルギー専用サービスを表している。一汽解放汽車の脱炭素の取り組みは2022年3月調査レポート参照

(高橋大輔)

(中国)

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