中国の燃料電池車メーカー、水素動力の作業用車両を世界初とアピール

(中国)

広州発

2022年05月09日

燃料電池車メーカーの天津新氫動力科技(以下、新氫動力)は4月22日、水素を動力とする作業用車両の新製品を発表した。

今回発表されたのは、「水素+5G無人3T級フォークリフト」「水素+5G無人5T無人輸送車」(注)「固体金属水素貯蔵燃料電池フォークリフト」の3製品。いずれも新氫動力と材料運搬装置の大手メーカーの杭叉集団(本社:浙江省杭州市)が共同開発したものであり、杭叉集団の李元松副総エンジニアは、いずれも水素を動力とする作業車としては世界初の製品であり、最も先進的な技術を有していると述べた。

同社の発表によると、「水素+5G無人3T級フォークリフト」「水素+5G無人5T無人輸送車」はいずれも燃料電池車で、倉庫内の貨物の無人運搬および作業エリア内での無人運送が可能で、二酸化炭素(CO2)排出ゼロ、低騒音、低運営コストという利点がある。これらの製品の活用により、スマートで高効率なグリーンの運搬体系の構築が可能になるとしている。

「固体金属水素貯蔵燃料電池フォークリフト」は、固体金属を用いた水素貯蔵技術とフォークリフトを結合した世界初の製品となる。水素エネルギーの補給がしやすく、高い安全性をもち、なおかつ水素貯蔵タンク式フォークリフトより航続時間が長いという利点が説明された。

また、広東省仏山市人民政府は4月23日に、新氫動力が10億元(約195億円、1元=約19.5円)を投資して同市に水素エンジン生産基地を建設すると発表した。建設完了後は、年間1万台(計350MW)の水素燃料電池スタック、年間5,000台の水素燃料電池エンジンシステムの生産能力を備える。

広東省仏山市、水素エネルギー産業クラスター形成を目指す

広東省は、水素燃料電池自動車のモデル都市群に選定されており、中核を担う仏山市では水素エネルギー産業の発展に力を入れている(2021年9月7日記事参照)。「仏山市水素エネルギー産業発展規画(2018~2030年)」によると、仏山市の水素エネルギーおよび関連産業の生産額について、2025年までに累計500億元、2030年までに累計1,000億元を達成する目標が掲げられている。

報道によれば、広東省全体の水素関連企業数はすでに500社を超え、そのうち仏山市には150社以上の水素エネルギー企業、科学研究機関および関連機関が集積している(「界面新聞」4月21日)。

(注)3T、5Tは、3トン、5トンという最大積載量を表す。

(汪涵芷)

(中国)

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