住宅ローン金利を最大で0.2%引き下げ
(中国)
北京発
2022年05月25日
中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会は5月15日、「差別化された住宅貸付政策に関連する問題の調整に関する通知」(銀発〔2022〕115号)を発表した。
1件目の住宅購入にあたって、住宅ローン金利を最大で20ベーシスポイント(0.2%)(注1)引き下げる。住宅ローン金利は期間5年以上のローンプライムレート(以下、LPR)を基準として決定される(注2)。5月20日に期間5年以上のLPRレートが4.45%に引き下げられたため(2022年5月23日記事参照)、同日以降の住宅ローンの最低金利は4.25%となる。中国では4月の新築住宅価格が47都市で下落するなど(2022年5月25日記事参照)、不動産市場の下押し圧力が強まっている。
最低金利を元に、各地方の中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会の出先機関は現地の不動産市場などを考慮し、必要に応じて金利を加算することができる。また、貸出金融機関は、顧客のリスクや自社の経営状況により金利を加算することができる。
通知の詳細は以下のとおり。
- ローンを組み居住用普通住宅(注3)を購入する世帯について、1件目の個人向け住宅ローン金利の下限を、対応する期間のLPRから最大で20ベーシスポイント引き下げたものとする。2件目の個人向け住宅ローン金利の下限は現行のままとする。
- 全国統一のローン金利の下限を基本とし、中国人民銀行、中国銀行保険監督管理委員会の出先機関は「都市ごとに政策を定める」という原則により、各地の省レベルの市場金利決定自律メカニズムを指導し、管轄区内の各都市の不動産市場の変化と各都市の政府のコントロールの必要に基づき、自主的に管轄区内の各都市の1件目および2件目の住宅ローン金利の下限に対して、金利を加算することができる。
招聯金融の董希淼首席研究員は今回の金利引き下げは、「住宅販売の見通しを安定させ、新たな需要を喚起すると同時に、政府が市場の安定を重視しているというシグナルを伝え、不動産市場の安定した健全な発展に役立つ」としている(「経済日報」5月16日)。
また、2件目の個人向け住宅ローン金利の下限は現行のままとなったことについては、住宅は投機対象ではないとのシグナルを明確にしたものだとの見方がある(「南方網」5月16日)。
(注1)1ベーシスポイントは0.01%。
(注2)LPRは最優遇貸出金利の指標とされており、期間1年と期間5年以上の2種類が公表されている(2021年12月21日記事参照)。
(注3)面積、容積率、取引価格などにより普通住宅と非普通住宅に分類されており、購入・売却時の税金の額などが異なる。北京市であれば普通住宅は小区(住宅エリア)の容積率が100%以上、物件の建築面積が140平方メートル以下であり、該当物件の取引価格が規定以下であるといった条件が定められている。
(河野円洋)
(中国)
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