モディ首相、独仏・北欧諸国と首脳会談を実施

(インド、ドイツ、デンマーク、フランス)

ニューデリー発

2022年05月17日

ナレンドラ・モディ首相は5月2~4日にかけて欧州各国を歴訪し、ドイツやフランス、北欧各国の首脳とそれぞれ会談した。

モディ首相は、ドイツのシュルツ首相との政府間協議(5月2日)において、「グリーンおよび持続可能な開発パートナーシップに関する共同声明」に署名した。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)における目標(2021年11月5日記事参照)達成やSDGs(持続可能な開発目標)の実現のため、ドイツはインドに対し、2030年までに最低100億ユーロ(約1兆3,500億円、1ユーロ=約135円)の追加支援を行うと宣言した。

次に訪問したデンマークでは同国のフレデリクセン首相と会談した(5月3日)。同日に公開された共同声明では、2020年9月に両国間で合意した「グリーン戦略パートナーシップ」を踏まえ、グリーン水素や再生可能エネルギーの統合、エネルギー貯蔵や脱炭素化を中心としたエネルギー政策対話での連携を歓迎するとした。さらに、翌4日には、2018年4月以来となるインド・北欧サミットにおいて、ノルウェー、スウェーデン、アイスランド、フィンランドを含めた北欧5カ国と会談。同日の共同声明で、海運業界の低炭素化や持続可能な海洋産業への投資などを含むブルーエコノミー分野での協力に言及した。

また、最後の外遊先となったフランスでは、同国のマクロン大統領と会談を行った(5月4日)。両首脳は再生可能エネルギーへの転換を推し進める重要性を再確認し、太陽光エネルギーの普及拡大を図るインド・フランス主導のイニシアチブ「太陽に関する国際的な同盟(ISA)」の目的達成のための支援継続を表明。また、モディ首相はインドの「国家水素ミッション」(2022年3月7日記事参照)へのフランスの貢献に期待感を示すとともに、クリーン水素の規制や認証、標準化にかかるロードマップ策定を共同で行うことにも合意した。

インドはロシアとの長年の協力関係(2021年12月13日記事参照)を背景に、国連における対ロシア非難決議案の採決で棄権に回るなど、ウクライナ情勢を巡っては中立の立場をとっている。今回の外遊は、インドが欧米諸国による対ロシア制裁に参加しない中でも、欧州主要国との関係維持を再確認する意味合いがあったとみられている。

(ミナクシ・ベルワル、広木拓)

(インド、ドイツ、デンマーク、フランス)

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