米上院議員9人、超党派でバイデン大統領に対中追加関税の継続要請

(米国、中国)

ニューヨーク発

2022年05月27日

米国議会上院のロブ・ポートマン議員(共和党、オハイオ州)ら9人の上院議員は5月25日、ジョー・バイデン大統領に宛てた書簡で、1974年通商法301条に基づいて中国原産の輸入品に課している追加関税(301条関税)を今後も継続するよう要請外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。書簡には、上院で通商を所管する財政委員会からポートマン議員のほか、民主党のボブ・ケイシー議員(ペンシルベニア州)、シェロッド・ブラウン議員(オハイオ州)、エリザベス・ウォレン議員(マサチューセッツ州)が署名しており、超党派の要請となっている。

301条関税については、米国通商代表部(USTR)が5月に通商法に基づく見直し手続きを開始した(2022年5月6日記事参照)。301条関税は現在、医療関連製品など一部の品目のみが適用除外措置の対象となっているが(2022年3月24日記事参照)、見直しの結果、追加関税率の変更や適用除外手続きの再開が行われる可能性もある。

ポートマン上院議員らは書簡で、米国内で調達できない製品などに関しては適用除外手続きが必要としつつ、301条関税の撤廃や大幅な削減は中国の差別的な経済慣行に対応する上で米国の交渉力を削ぐため逆効果だと主張している。また、301条関税の発動理由となった、中国による外国企業に対する技術移転の強要や米国の知的財産の窃取などが続いていると指摘。米中経済・貿易協定(いわゆる第1段階の合意、2020年2月21日記事参照)で定められた執行手段を行使するよう求めた。

301条関税の扱いを巡っては、バイデン政権内でも意見が分かれている。USTRのキャサリン・タイ代表は追加関税の撤廃に慎重な姿勢を示す一方、ジャネット・イエレン財務長官はインフレ対策を目的に追加関税の削減に前向きな発言をしている(2022年5月9日記事参照)。ジョー・バイデン大統領は、5月23日に日本で行われた日米首脳会談後の記者会見(2022年5月23日記事参照同日別記事参照)で301条関税の撤廃の可能性を問われた際、「帰国後にイエレン長官と議論する。追加関税は前政権が課した。(バイデン政権内での扱いを)検討中だ」と答えた。USTRのグレタ・パイシュ首席法務官は5月25日、ジョージタウン大学が主催したイベントに登壇した際、「301条関税の見直し手続きは数カ月かかる見込みだが、できるだけ早く完了したい」と述べる一方、見直しと並行して適用除外措置を講じる可能性にも言及した(ブルームバーグ5月25日)。

(甲斐野裕之)

(米国、中国)

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