米運輸省、2026年モデル車の燃費を1ガロン49マイルとする新規則発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月06日

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は4月1日、2024年から2026年製車の乗用車とライトトラックに対する新たな企業別平均燃費基準(CAFE)値を含む最終規則(新規則)を発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した(2021年10月18日付地域・分析レポート参照)。2021年1月にジョー・バイデン大統領が署名した大統領令(13990号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)に基づき、2020年に当時のトランプ政権が緩和した基準値などを見直したもので、最終規則の策定に当たっては、2021年8月に発表された改正規則草案に対する関係機関などからの意見聴取を行っていた。より厳しい燃費基準により、業界に対し早期の電動化への移行を促す。

最終規則では、最終年に当たる2026年製車の燃費基準値を1ガロン(約3.8リットル)当たり49.1マイル(mpg、1リットル当たり約20.9キロ)に定めた(添付資料表参照)。トランプ前政権が制定した40.4マイル(mpg、同約17.2キロ)を大きく上回り、改正規則草案で提示された48マイル(mpg、同約20.4キロ)をさらに見直す厳しい値となった(注1)。また、基準値の策定過程で、カリフォルニア州などが採用するゼロエミッション車(ZEV)の販売義務や、同州と一部メーカーの個別契約の「クリーンカーズ枠組み協定」(注2)で採用されたより厳しい基準値のほか、バッテリー式電気自動車の導入状況や、新型コロナウイルスのパンデミックの影響など、新たに32項目を考慮した。

NHTSAは今回の見直しにより、トランプ前政権下で定めた基準値を継続した場合と比べ、2050年までに2,000億ガロン(約7,570億リットル)以上のガソリンが削減されると試算する。また、2030年までに販売される新車の燃費向上により、消費者が受けるメリットは合計で約1,920億ドルに上るとみている。ピート・ブティジェッジ運輸長官は記者発表で「これらの改善により、われわれの国では、石油価格の世界的な変動に対する脆弱(ぜいじゃく)性が低下するほか、炭素排出量を25億メートルトン削減することでコミュニティーを保護する」と述べている。

一連の見直しのうち、温室効果ガス(GHG)規制に関しては、既に環境保護庁(EPA)が新たな排出基準値を発表している(2021年12月24日記事参照)。GHG基準と無排出車(ゼロエミッション車:ZEV)の販売に対する州の適用除外に関しては、NHTSA、EPAともに再認しており(2021年4月26日記事2022年3月14日記事参照)、今回のNHTSAによる最終規則で主要な決定が出そろったかたちとなる。最終規則は官報掲載日から60日後に有効となる。

(注1)年ごとの上昇率に換算すると、2024年、2025年製車で8%、2026年製車で10%。前政権下での1.5%、オバマ政権下の5%(いずれも2026年製車で)を大きく上回る。

(注2)フォード、ホンダ、フォルクスワーゲン、BMW、ボルボとカリフォルニア州が自発的に締結したGHG規制。トランプ政権下でカリフォルニア州による規制制定権が失効した後も、GHG削減とEV移行の加速化に向け一貫して取り組むことを目的とした。

(大原典子)

(米国)

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