米運輸省、州独自の排ガス基準を認める新規則案を発表

(米国)

ニューヨーク発

2021年04月26日

米国運輸省道路交通安全局(NHTSA)は4月22日、温室効果ガス(GHG)排出基準とその達成のためのゼロ・エミッション車(ZEV)規制(2021年4月8日記事参照)に関連して、2019年9月に発表した「One National Program Rule外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」(以下「プログラム」)の規定を撤回し、各州に対し独自の規制を制定する権利を認める新たな規制案を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(2021年4月9日記事参照)。また、同規則案では、NHTSAが「プログラム」で示した、カリフォルニア州に対する連邦規制の適用除外の阻止に関する解釈も撤回した。同規則案は、「プログラム」を含むトランプ前政権下で定められた全規則の見直しを指示した2021年1月20日の大統領令(2021年1月22日記事参照)を受けたもの。NHTSAは、同規制案が連邦官報に掲載されてから30日間パブリックコメントを募集し、最終規則案を策定する。

GHG排出基準の根拠法である大気浄化法は、やむを得ない特別な事情がある場合などに、州や地方自治体に対し連邦基準の適用除外を認めており、カリフォルニア州はこれに該当するとされていた。これに対し、トランプ政権(当時)は「プログラム」において、同州が「特別な事情」に当たらないとの理由から適用除外を取り下げ、州や自治体への連邦規制の適用を義務付けた。また、燃費基準の管轄当局であるNHTSAは、排ガス中の二酸化炭素(CO2)は燃費基準に関連するもので、燃費基準の根拠法であるエネルギー政策・保全法(EPCA)では州や自治体が独自の規制を制定することを認可していないとの理由から、同州に対する大気浄化法の適用除外は無効としていた。

一方、今回の規制案の中でNHTSAは、「プログラム」において各州の独自規制の阻止を規定したことは、同局の権限を超えるものだった、と説明している。

NHTSAのスティーブン・クリフ局長代行はプレスリリースで、「汚染浄化と気候変動への対処に関しては、特に過去4年間は、州が先導してきた。今回のNHTSAの提案は、温室効果ガスやその他の大気汚染物質の規制における州のリーダーシップに対する不必要な障壁を取り除くだろう」と述べている。

(大原典子)

(米国)

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