米商務省、ロシア・ベラルーシ向けのデュアルユース品目の輸出を実質的に全面禁止

(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年04月12日

米国商務省産業安全保障局(BIS)は4月8日、ロシアとベラルーシ向けの輸出管理を一層強化すると発表した。BISが輸出管理規則(EAR)の下で管理する規制品目リスト(CCL)に掲載の米国製品について、実質的にこれら2カ国への輸出・再輸出・国内移送(輸出等)を全面的に禁止する内容となる。4月14日付官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますするが、規則強化は4月8日付で有効となっている。

商務省の4月9日のプレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、2月24日以降強化してきたロシアとベラルーシ向けのEARにおいて、これまでは対象外としていたCCLのカテゴリー0~2(注)の品目も対象に含まれることになる。また、米国製のソフトウエア・技術を用いて米国外で生産された製品についても、事前の許可申請を求める、いわゆる外国直接製品(FDP)ルールが適用となる。これは、既に強化されたEARの対象となっていたカテゴリー3~9の品目についても適用されていた(2022年2月25日記事参照)。ただし、事前に許可申請をしたとしても、BISはごくわずかな例外を除き、却下の扱いにするとしているため、CCLに掲載の品目をロシアとベラルーシ向け輸出等することは実質的に禁止の扱いとなる。なお、日本をはじめ、米国と同様にロシア、ベラルーシ向け輸出管理を導入する国については、このFDPルールの対象外としており、最近では4月8日にアイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェー、スイスが対象外の国として認められた外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。現時点でEU27カ国に加えて、オーストラリア、カナダ、日本、韓国、ニュージーランド、英国と今回の4カ国の合計37カ国が米国のFDPルールの対象外となっている。

ジーナ・レモンド商務長官は、ロシアによるウクライナ侵攻を批判したうえで「国際的な同盟・友好国と協調したうえでのBISの本日の措置は、われわれがロシアとベラルーシの軍事能力を低下させるために、これら2カ国の戦略的分野に圧力をかけ続けるという意思の表れだ」との声明を出している。

なお、2022年2月以降に米国が発動した対ロシア・ベラルーシ関連の制裁については、添付資料を参照。

(注)0:核物質、核施設・装置およびその他、1:材料、化学物質、細菌および毒素、2:材料加工。米国の輸出管理規則については、ジェトロ調査レポート「厳格化する米国の輸出管理法令(2019年9月)」「続・厳格化する米国の輸出管理法令 留意点と対策(2021年8月)」を参照。

(磯部真一)

(米国、ロシア、ベラルーシ、ウクライナ)

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