スリランカ、内閣総辞職後も政治混乱が続く

(スリランカ)

コロンボ発

2022年04月12日

スリランカでは、3月31日の大統領自宅周辺での大統領退陣を求めた抗議デモを皮切りに、全土的に各地で抗議活動が活発化、4月11日現在も続いている。広範な抗議活動を背景に、4月3日にマヒンダ・ラージャパクサ首相を除く26人の内閣閣僚が総辞職した(注1)。

その翌日、教育相、外務相、高速道路相、財務相が新たに任命されたが、直近の法相から財務相に新たに就任したアリ・サブリ氏は、1日半で辞表を提出。ただ、同財務相は今後のIMFとの交渉で要の役割を担うため、ゴタバヤ・ラージャパクサ大統領がアリ氏を慰留し、結局、同氏が交渉に臨むこととになるもよう。一方、中央銀行のニバード・カブラール総裁は4月4日に辞任、新たにナンダラール・ウィーラシンハ総裁が7日に就任。大統領と首相は、穴が開いた主要ポストを埋めてはいるものの、4月11日現在、内閣のその他大半の閣僚がまだ不在で、政治的混乱は続いている。

政府は、3月31日の抗議デモ隊の一部が暴徒化したことを受けて、同日夜に外出禁止令を発令。続く4月1日には非常事態宣言を発令した。これにより、軍や警察が参加者などを理由なく逮捕・拘束することができるため、その後の週末にかけて全土的に予定されていた抗議活動を、実質抑え込んだかたちとなった。非常事態宣言は5日に解除され、その後も抗議活動は各地で行われているが、デモ隊の暴徒化や警察との大きな衝突は起きていない。4月10日には、ゴタバヤ大統領が一時的に居住しているとされるシャングリラホテル前に、5万人規模ともいわれるデモ隊が集結、大統領の退陣を叫んだ。内閣総辞職前までは、ゴタバヤ大統領を筆頭に、首相、財務相、スポーツ相など主要ポストに兄弟や子息といった親族らが就いており、ラージャパクサ一族による政権運営が、汚職や施策の専門性の欠如につながるとして非難されていた。

スリランカでは、外貨不足・各種輸入制限(注2)・通貨切り下げなどに起因する、ガソリン・ディーゼル燃料の不足、長時間にわたる計画停電(2022年2月24日記事参照)、食料価格の高騰(2022年2月:前月比で25~30%上昇)が続き、「新型コロナ禍」を通じて国民の政府に対する不満が蓄積されていた。一連の抗議活動は、国民の我慢が限界にきていることを示している。

写真 シャングリラホテル前で大統領退陣を叫ぶデモ隊(4月10日、ジェトロ撮影)

シャングリラホテル前で大統領退陣を叫ぶデモ隊(4月10日、ジェトロ撮影)

(注1)3月末から4月初めにかけて、一部閣僚や次官らの自宅がデモ隊による投石や放火の襲撃にあい、これ以上内閣にとどまれば、わが身に危険がおよぶと感じた閣僚らが一斉に辞職した。

(注2)2022年2月9日記事2021年10月26日記事2021年8月31日記事2021年6月30日記事参照。

(糸長真知、ラクナー・ワーサラゲ)

(スリランカ)

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