在ロ日系企業の半数以上が事業を停止、ジェトロがウェビナー

(ロシア、ウクライナ、日本)

欧州ロシアCIS課

2022年04月27日

ロシアによるウクライナへの軍事侵攻は在ロシア日系企業のビジネスに多大な悪影響を及ぼしている。ジェトロは4月25日、ウェビナーを開催し、ウクライナ情勢を受けたビジネスの動きや日本政府の対応を解説した。

ジェトロ海外調査部の下社学主幹は、ウクライナ情勢による在ロ日系企業のビジネスへの影響についてのアンケート調査の結果や、ジェトロに寄せられるウクライナ情勢に関する問い合わせの傾向を説明した。ジェトロは2022年4月15~19日、在ロ日系企業211社にアンケート調査を行い、111社から回答を得た(有効回答率52.6%)。現時点の事業ステータスについて、回答企業の55%が「一部もしくは全面的に事業(操業)を停止」と回答。「通常どおり、または検討中」としている企業は44%、「撤退済み、もしくは撤退を決定」は1%だった。前回調査(3月24~28日実施)と比べ、「一部もしくは全面的に事業(操業)を停止」の回答率が12ポイント上昇した。また、駐在員の一部もしくは全員を退避させた企業は全体の86%に上り、全員退避は75%だった。前回調査では、駐在員の一部もしくは全員を退避させた企業は全体の81%で、全員退避は67%だった。今後半年から1年後の事業見通しでは、撤退(5%)、縮小(35%)、現状維持(30%)、拡大(1%)、わからない(28%)だった。前回調査では、撤退=6%、縮小=38%、現状維持=25%、拡大=2%、わからない=29%であり、撤退・縮小含め傾向は変わらなかった。

ウクライナ情勢を受けてジェトロに寄せられた問い合わせ内容は、a.対ロ経済制裁による貿易取引制限などの輸出規制・関連手続き、b.現地進出日系企業の状況やロシア・ウクライナ情勢の個別産業・市場への影響といった産業や市場に関する情報、c.政治経済動向、d.ロシアの国際銀行間通信協会(SWIFT)システムからの排除といった決済・金融・為替の問題などが中心だ。

経済産業省貿易経済協力局の貿易管理部貿易審査課の本城浩課長はウクライナ情勢を受けた外国為替および外国貿易法に基づく輸出貿易管理令や、経済産業省告示の改正(注)を説明した。前回のウェビナーで紹介した措置に加え、新たに以下に挙げる措置が導入された。

a.たばこや酒類をはじめとした奢侈(しゃし)品のロシアへの輸出禁止

b.アルコール飲料、木材、機械類・電気機械のロシアからの輸入禁止。なお、施行前に契約した分について、施行後 3 カ月間は輸入を認める猶予措置を講じる

(注)詳細は経済産業省ウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに記載されている。

(宮下恵輔)

(ロシア、ウクライナ、日本)

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