バイデン米政権、EV用充電器普及に向け、GMやトヨタなどメーカーと意見交換

(米国)

ニューヨーク発

2022年04月08日

バイデン米国政権の複数の閣僚らは4月6日、同国で生産販売活動を行う主要自動車メーカーの幹部を招き、電気自動車(EV)の普及と充電器の設置について意見交換を行った。同政権は2021年11月15日に、EV用充電器(Charging Station)の設置に対する75億ドルの補助金を盛り込んだ超党派のインフラ投資雇用法(H.R.3684、2021年11月9日記事参照)を成立させており、2月10日には補助金交付に関する具体的なガイダンスを発表し、利害関係者と複数回懇談して情報収集に努めるなど、積極的な取り組みを行っている(2022年2月16日記事参照)。

今回の会合には、運輸省のピート・ブティジェッジ長官やエネルギー省のジェニファー・グランホルム長官、ジーナ・マッカーシー国家気候変動顧問、ミッチ・ランドリュー上級顧問兼インフラ計画監督官、自動車業界からはゼネラルモーターズ(GM)のメアリー・バーラ会長兼最高経営責任者(CEO)をはじめ、フォード、ステランティス、テスラ、ルシードモータース、トヨタ、日産、スバル、マツダ、現代、起亜の幹部が参加した。メーカー側は「充電ネットワークの構築に当たって、政府と業界の協働は不可欠であり、ひいては(そうした成果が)EV用バッテリー材料などのサプライチェーンを支援することにつながる」と述べ、官民の協力関係の維持を強調した。政府側は今回の成果として「(メーカーから)充電器と車両は相互運用可能で、車種や充電場所にかかわらず、一貫したユーザー体験を提供する必要があるという幅広いコンセンサスを得た」 と述べ、 一定の成果をアピールした。

米国のEV販売台数は伸びている(注1)ものの、普及の範囲は家庭で充電可能な一部の消費者にとどまっており、今後市場を拡大するには公共充電施設の大幅な増設が必須となっている。最近では、米政府監査院(GAO)が政府公用車や郵便車両のEV化を進めるために、さらに10万基以上の充電器の設置が必要との調査結果を発表した(注2)。3月時点で連邦政府所有の充電器は1,100基にとどまっており、早期の取り組みが求められている(ロイターほか4月5日)。

(注1)2022年第1四半期(1~3月)のEV(バッテリー式電気自動車とプラグインハイブリッド車の合計)は前年同期比58.8%増(2022年4月7日記事参照)。

(注2)ジョー・バイデン大統領は2021128日、連邦政府車両の購入について2035年までに全てEVや燃料電池車(FCV)など排出ガスゼロ車(ZEV)にすることを定めた大統領令に署名した(2021年12月10日記事参照)。

(大原典子)

(米国)

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