バイデン米政権、EV充電ネットワーク計画の詳細を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月16日

バイデン米国政権は2月10日、2021年11月15日に成立した超党派のインフラ投資雇用法(H.R.3684、2021年11月9日記事参照)に盛り込まれている、電気自動車(EV)用充電器(Charging station)の設置に向けた75億ドルの予算のうち、50億ドル分に当たる「EV充電プログラム(National Electric Vehicle Infrastructure (NEVI) Formula Program)」についてのガイダンスPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を発表した(2022年12月2日記事参照)。

「EV充電プログラム」は、全米のEV充電器のネットワークを拡充するため、州政府を対象に支給する助成金制度。助成金額は5年間で50億ドルとなっており、2022会計年度(2021年10月~2022年9月)には6億1,500万ドルが手当てされる見込みだ。今回のガイダンスには助成金の対象となる充電器の使途目的が指定されているほか、申請方法や充電器設置の際の技術的な留意点などが記されている。受給に当たり州政府は、8月1日までに、エネルギー省と運輸省が前年12月に発足した合同事務所に対して、ガイダンスに基づいた使途計画書を提出する。

同プログラムの対象は全州にわたるが、連邦政府が充電ネットワーク強化のためのインフラ重点道路として指定する「代替燃料回廊(注1)」が多く位置するテキサス州(6,036万ドル)やカリフォルニア州(5,679万ドル)、フロリダ州(2,932万ドル)などでの利用可能額は、より高く設定されている(添付資料表1参照)。

EVの普及を目指すバイデン政権は、2030年までに50万基の充電器を設置することを目標としている。エネルギー省によると、2022年2月14日時点の米国におけるEV用充電施設数は4万6,884カ所で、充電ポート数(注2)は11万5,265口〔いずれもレベル2、直流(DC)急速充電(注3)についての値〕(添付資料表2参照)。そのうち、今後特に需要が見込まれるDC急速充電用充電ポートの数は、約2割の2万2,278口にすぎない。電力会社協会のエジソン電気協会によると、2030年に2,200万台のEVが走行するという前提の下では、10万口以上のDC急速充電ポートが必要と試算されており、今回の補助金制度がその起爆剤となるか注目される。

(注1)州間高速道路などの道路に沿って連邦政府が指定する、電気自動車の充電と水素、プロパン、および天然ガス燃料供給インフラストラクチャー全国ネットワーク。助成金の対象になるなど、EVインフラの重点エリア。

(注2)複数の充電ポートが設置されている充電器もある。

(注3)充電性能による分類。レベル2では1時間で10~20マイル(約16.1~32.2キロ)走行分、DC急速充電では20分で60~80マイル(96.6~128.7キロ)走行分の充電が可能。

(大原典子)

(米国)

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