第4四半期のGDP成長率は前期比マイナス0.3%、新型コロナ規制が足かせに
(ドイツ)
ベルリン発
2022年03月07日
ドイツ連邦統計局は2月25日、2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(前期比、確定値、季節調整済み)をマイナス0.3%と発表した。今回の確定値では、2022年1月28日の速報値マイナス0.7%から0.4ポイント上方修正された。「新型コロナ禍」以前の2019年第4四半期(10~12月)と比較すると、いまだ1.1%下回る。あわせて、2022年1月14日に発表された2021年の実質GDP成長率(2022年1月14日記事参照)も2.7%から2.9%に上方修正された。
需要項目別の内訳をみると(添付資料表参照)、最終消費支出が前期比マイナス0.9%、うち個人消費支出が前期の6.0%からマイナス1.8%へと縮小に転じ、成長の足かせとなった。2021年11月下旬から再び導入された新型コロナウイルス感染拡大防止のための行動規制措置(2021年11月22日記事参照)が響いた。機械設備投資が前期のマイナス3.9%から0.9%に回復したことから、総固定資本形成は0.5%となった。輸出入はいずれも増加したが、輸入の伸び(5.1%)が輸出の伸び(4.8%)を上回り、外需(純輸出)は、ほぼ横ばいの0.2%となった。
産業別でみると、製造業は前期比1.9%と前期のマイナス1.7%から回復し、建設業も1.6%と前期のマイナス3.0%から回復した。一方、行動制限措置の影響を受けたサービス部門は、卸小売・運輸・宿泊・飲食業はマイナス1.6%となった。ビジネス・サービスはマイナス0.9%、公共サービス・教育・保健はマイナス3.9%、その他サービスはマイナス10.0%といずれも落ち込んだ
2022年第1四半期は減速予測も景況感は改善傾向、ウクライナ情勢の影響は要注視
ドイツ連邦銀行(中央銀行)は、2月21日発表の月次レポートにおいて、2022年第1四半期の経済見通しについて、オミクロン株の流行に伴う行動制限による影響でサービス部門の需要が減少し、サービス部門以外でも労働投入量が減少していることにより、減速すると予測している。他方、部品不足の解消傾向や製造業各社の生産計画や輸出見通しも改善していること、新型コロナウイルス感染拡大が沈静化すれば消費活動も再開することから、春以降は再び成長トレンドに回復するとみている。
ifo経済研究所によると、2月22日発表の2022年2月のドイツ企業景況感指数(2015年=100)は98.9と前月を2.9ポイント上回った。また、2月のDI値(注)は、特に飲食業・宿泊業や観光業などを含むサービス部門で前月の7.7から13.5、流通部門が前月のマイナス1.3から6.6へ大きく上昇。政府による新型コロナウイルス感染対策の行動規制緩和に向けた動き(2022年2月21日記事参照)が、景気に対する見通しを明るくしている。他方、同研究所はウクライナ情勢について、今後のリスク要因として注視する必要があると指摘した。
(注)Diffusion Indexの略。ビジネスの状況を「良い」と回答した企業の割合から「悪い」と回答した企業の割合を引いた値。
(ヴェンケ・リンダート)
(ドイツ)
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