2021年GDP成長率は2.7%、ビオンテックがGDP押し上げに貢献

(ドイツ)

ベルリン発

2022年01月27日

ドイツ連邦統計局は1月14日、2021年の実質GDP成長率(速報値、物価調整済み)を前年比2.7%と発表した(添付資料表参照)。2020年の前年比マイナス4.6%から回復をみせたが、依然として、GDPは新型コロナウイルス感染拡大前の2019年の水準を2.0%下回る。新型コロナウイルスのパンデミックの状況が続いたことで、度重なり導入された新型コロナウイルス感染対策としての制限措置や、部材供給の逼迫(2021年9月17日記事参照)が響いた。

需要項目別でみると、政府消費支出は、2021年春以降の新型コロナウイルス対策(無料の迅速抗原検査実施のための検査キットおよびワクチン購入、ワクチン接種センターや検査センターの運営など)の財政支出により前年比3.4%増となった。個人消費支出は、前年と同じで0%と横ばいにとどまった。総固定資本形成は1.3%増、そのうち、建設投資は労働力と資材の不足により0.5%増と、2020年の前年比の増加幅(2.5%増)を下回った。輸出は9.4%増、輸入は8.6%増といずれも大幅回復した。

産業別でみると、ほぼ全ての産業でプラス成長となった。製造業は前年比4.4%増、企業向けサービスは5.4%増と大幅に伸長。新型コロナウイルス対策の制限措置の影響を受けた小売・運輸・宿泊・飲食業は3.0%増で、やや小幅な伸びにとどまった。建設業は0.4%減で、2020年の3.8%増からマイナスに転じた。

キール世界経済研究所(IfW)は、連邦統計局の発表について2022年1月14日付プレスリリースで、新型コロナワクチンを米国ファイザーと共同開発したビオンテック(2020年3月25日記事2020年9月25日記事参照)のロイヤルティー収入は、2021年のGDP成長率2.7%のうちの0.5%分の成長に貢献し、このロイヤルティー収入がなければGDP成長率は2.2%だったと推算する、と指摘。ニルス・ヤンセン景気・成長研究センター長は「一企業がこれほど強力にGDPを押し上げることは極めて異例」とコメントしている。

(ヴェンケ・リンダート、中村容子)

(ドイツ)

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