新型コロナ感染急拡大に伴い、行動規制を強化

(ドイツ)

ベルリン発

2021年11月22日

ドイツのアンゲラ・メルケル首相と全16州の州首相は11月18日、今後の新型コロナウイルス対策について協議し、全国一律で行動規制を強化することに合意外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。ドイツでは、ワクチン接種率の向上に伴い5月から行動制限措置が緩和されてきた(2021年5月12日記事参照)。しかし、10月下旬以降は感染が急拡大し、11月18日の1日当たりの新規感染者数は過去最多の6万5,371人を記録した。新たな措置では、職場や公共交通機関でワクチン接種証明書や陰性証明書が必要となる。さらに医療逼迫を回避するため、入院率に応じた3段階の制限措置が定められた。

連邦と州が合意した主な措置は以下のとおり。

公共交通機関の利用
  • 引き続きマスク着用の義務。
  • 新たにワクチン接種証明書、回復証明書、陰性証明書のいずれかの携帯・提示が必要となる。
職場における措置
  • 出社に際してはワクチン接種証明書、回復証明書、陰性証明書のいずれかが必要となる。
  • 雇用主は、従業員に対する週2回の無料のコロナ検査の提供義務(2021年4月26日記事参照)を継続する。
  • 雇用主は業務上の支障がない限り、従業員の在宅勤務を可能とする義務が課される。
入院率に応じた制限措置の導入
  • 各州の過去7日間の人口10万人当たりの新規入院者数による「入院率」に基づき、以下の措置を実施する(注)。
  • 入院率3を超えた場合:飲食店や屋内イベント、宿泊施設、文化・スポーツ施設、ボディケア施設は、ワクチン接種完了者と回復者のみが訪問・利用可能。
  • 入院率6を超えた場合:ディスコやバーなど感染リスクが高い場所は、ワクチン接種完了者と回復者で陰性証明書の保持者のみが利用可能。
  • 入院率9を超えた場合:各州は、州議会の同意を条件に、さらなる措置を講じることができる。

一方、感染症予防法の改正法案も11月18日に連邦議会(下院)で可決、翌19日に連邦参議院(上院)で承認され成立外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(24日に施行の見込み)。今後は同改正法と連邦と州の合意内容に沿って、連邦と各州が法令を整備し具体的な行動制限措置を定める。

ワクチン接種とブースター接種をさらに推進

連邦と州の合意内容には、感染拡大阻止のため未接種者に対するワクチン接種と接種完了者へのブースター接種のさらなる推進も含まれた。常設予防接種委員会(STIKO)は11月18日、18歳以上の全員に、接種完了から6カ月後、ワクチン供給が十分な場合は最短で5カ月後の追加接種を推奨した。連邦と州は、12月後半には5歳から11歳までの子供に対する接種を開始する見込みだ。

(注)接種を受けることのできない者、ワクチン接種が推奨されない者、18歳未満には入院率3を超えた場合の措置および9を超えた場合の措置は適用されない。

(中村容子、二片すず)

(ドイツ)

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